▲東学農民運動を率いたチョン・ボンジュン(中央の人物)が逮捕され、連行される様子と推定されている写真。チョン・ボンジュンは1894年、「牛禁峙の戦い」で敗れた後に逮捕・処刑された。/写真=イ・チベク全北郷土文化研究会長提供

 韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」が、3745人に達する第2次東学農民運動(1894年)参加者を独立有功者として礼遇し、この人々の孫の孫に当たる代(ひ孫の子ども。やしゃご)にまで各種の恩恵を提供する法律案(東学法改正案)を9月19日に国会常任委の小委員会で強行処理した。保守系与党「国民の力」は、有功者の叙勲を扱うものなのだから法案は文化体育観光(文体)委ではなく国家報勲部(省に相当。以下同じ。報勲部)所管の政務委員会で取り扱うべきだとして退場した。報勲部は翌20日、「有功体系を崩し、過度の特別待遇を与えるポピュリズム法案」だとして反発した。「こうやって壬辰(じんしん)倭乱(文禄・慶長の役)の有功者も独立有功者だというのか」と非難の声が強まると、民主党の洪翼杓(ホン・イクピョ)文体委員長は同日の文体委全体会議で「両党が合意して初めて全体会議に上程して処理したい」とブレーキをかけた。

 この法案は、第2次東学農民運動に参加した人々が建国勲章・建国褒章・大統領表彰など叙勲を受けた場合、自動的に独立有功者に登録するよう定めている。法案が本会議を通過したら、有功者の子孫は教育・就職・医療分野で政府の支援を受けることになる。文化体育観光部(文体部)傘下の「東学農民革命参与者名誉回復委員会(東学委員会)」によると、今年6月現在で、第2次東学農民運動参加者として登録されている人物は3745人、遺族は「やしゃご」まで該当し、その数は1万2962人に達する。文体部関係者は「遺族の数は2005年から登録している人員全体で、一部は既に他界しているので、実際はこれより減っているだろう」と語った。

 この事業のためにどれほどの予算が投じられるかも予測が難しい。法案を発議した尹準炳(ユン・ジュンビョン)民主党議員は20日、本紙の取材に対し、費用の推計が抜けている理由について「法案では、叙勲対象者は東学委員会が審議・議決した人の中から文体部長官が推薦することになっており、現段階では褒章対象者を推計できないから」だと答えた。尹議員の選挙区は、東学運動の「黄土ヒョン(ヒョンは山へんに見の字)の戦い」の戦跡がある全羅北道井邑市だ。

 野党側はこれまで、「反乱軍の子孫」を「革命軍の子孫」として名誉回復する趣旨だとして、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代から東学農民運動関連の法律を作ってきた。盧武鉉政権は2004年に東学法を制定し、東学農民運動参加者・遺族の登録申請を受け付けた。申請は低調で、06年には法律を改正して遺族の範囲を「高孫子女(やしゃご)」にまで拡大した。独立有功者の場合、遺族は「孫」までなのに、破格の範囲拡大を行ったのだ。民主党は13年には、東学農民運動参加者子孫に独立有功者と同水準の補償金を支払う法案も発議した。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代では、09年に終了した東学革命参加者および子孫の登録事業を9年ぶりに再開した。全羅北道井邑市は2020年から、東学農民運動参加者遺族に毎月10万ウォン(現在のレートで約1万1000円)ずつ手当を支払っている。

 報勲部は、有功体系を崩す法案だとして反発している。報勲部の叙勲内規によると、「独立運動は1895年の乙未(いつび)事変(閔〈びん〉妃暗殺事件)から始まった」となっているが、東学運動はそれより1年前だ。報勲部の関係者は「独立有功者および国家有功者の場合、厳格な報勲審査を経て有功者と認定しているのに、それと比べると過度に特別待遇を与えるポピュリズム法案」だと語った。報勲部は特に、参加者・遺族のリストを信頼し難い、という立場だ。東学委員会は「参加者であることを証明できる資料や文献がない場合、参加の事実や伝えられている過程を詳細に記述して提出」するようにと案内している。言い伝えられた内容だけでも参加者と認められるようにしたのだ。報勲部の関係者は「130年前の東学農民運動に参加したかどうかを先代の証言や族譜などを見て審査するのでは、どれだけ正確なのか調べるのは難しい」と語った。

 第2次東学農民運動の性格を「独立運動」と見なせるのかどうかも論争になっている。野党側は「チョン・ボンジュン将軍を含め、第2次東学農民革命参加者らは日帝の侵略に立ち向かって抗日武装闘争を展開したのに、有功者と認められていない」と主張している。だが学界では「抗日運動すなわち独立運動ではなく、慎重であるべき」という主張が優勢だ。これまでチョン・ボンジュンなどの独立有功申請が却下されてきた理由も、こうした学界の立場を反映している。

ヤン・ジホ記者

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