▲イラスト=チョソン・デザイン&ラボ・Midjourney

 米国と欧州の女子プロゴルフ対抗戦ソルハイムカップが9月25日、史上初めて同点引き分けで終わった。同点時のルールに従い、記録上前回優勝した欧州チームの勝ちとなった。今週末にはイタリアで男子の対抗戦ライダーカップも開催される。米国が欧州を除く国々と対戦するプレジデンツカップは来年開催予定だ。

 いずれも2年ごとに開催される団体戦で、非常に権威があり人気も高い。通常のゴルフツアー大会とは違い、選手12人が一つのチームとなり大人数の応援団が熱狂的な歓声を送る。数十年の大会の歴史で数多くの名勝負も生まれた。サウジアラビアの新しいゴルフ組織LIVゴルフは団体戦の形式とパーティーのような雰囲気を前面に出しているが、これはライダーカップを参考にしたものだ。PGA(米プロゴルフ協会)ツアーからLIVに離脱する選手が出るたびに「この選手はPGAツアー出場が禁止されてもライダーカップには選ばれるかもしれない」とゴルフ界で大きな話題になってきた。

 ライダーカップやソルハイムカップ、プレジデンツカップには賞金がない。それでも選手たちは代表チームに選ばれることを最高の名誉、あるいはゴルフ人生最大のハイライトと考えている。出場した選手たちはチーム名がやや大きめに描かれたゴルフバッグを個人の優勝トロフィーと同じく大切にし、最もよく見える場所に飾る。ライダーカップに再び出場したい思いからPGAツアー出場権を放棄した英国選手もいた。欧州ツアーで活動することが次のライダーカップ欧州代表に選抜される際に有利になると考えたからだ。しかしこの選手はライダーカップ出場がかなわず、米国進出の機会を失っただけで終わった。

 ライダーカップ出場の意味についてデンマーク出身のトーマス・ビヨンは「私はそれまで以上にはるかに大きな何かの代表になった」と説明した。タイガー・ウッズは「個人よりも大きなことのために何かができる瞬間は常に特別なものだ。仲間の選手たちと心を一つにしてチームを築いた経験を永遠に大切にしたい」と述べた。個人種目のゴルフ選手たちは試合中はいつも孤独だ。自分の名誉を懸け自分自身のために競技に取り組み、1人で全ての選択を迫られその結果に責任を持つことで自らの実力を証明する。その選手たちにとって団体戦は共同体とチームワークを経験し、個人の富と名誉以上に高い次元の価値を追求する機会となる。

 団体戦では昨日のライバルが今日の仲間になり、互いに助け合い励まし合いながら共に戦略を練る。自分がうまくいった時、仲間は自分以上に喜んでくれるし、失敗しても仲間は私を信じてくれる。個人の戦いに慣れたゴルファーたちにとって非常に新鮮でめったにない経験となる。キム・ジュヒョン選手は昨年プレジデンツカップでその年の2回のPGAツアー優勝以上に大きな印象を残した。ホールまで239ヤード残して放った2番アイアンのショットをカップ手前3メートルの位置につけたのだ。この決定的な一打で一気にPGAツアーの人気者(インサイダー)になった。そうそうたる先輩ゴルファーたちの前で若い新人が驚くべき度胸と集中力を発揮し、チームに貢献した点が高く評価されたのだ。団体戦は自分の中のリーダーシップを見いだす機会も与えてくれる。厳しい勝負師として他の選手から恐れられていたタイガー・ウッズは2019年にプレジデンツカップの米国チームキャプテンとなり、そのリーダーシップが認められこれまでとは違う側面が注目された。ウッズは自分よりも若いメンバーを「マイ・ボーイズ」と呼び、メンバーは「タイガー・ウッズのために、タイガー・ウッズと共に試合ができることが大きな力になった」と語った。

 今も熱戦が続く杭州アジア大会でも自分より大きなことのために戦い、個人の限界を超える各国選手たちを目にすることができる。とても新鮮だ。「自分よりも大きなことに人生をささげる」と口では言いながら、実際は自分の腹を満たすことばかり考える人間たちをここ数年ニュースであまりにも多く見てきたからだ。

崔秀賢(チェ・スヒョン)記者

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