▲写真=UTOIMAGE

 韓国軍の合同参謀本部(合参)が17日、「イスラエルの防御網を突破して奇襲攻撃したパレスチナ武装勢力『ハマス』は、武器取引、戦術規範、訓練など幾つかの分野で北朝鮮と連携していると判断される」と発表した。この日、幹部クラスの合参関係者はブリーフィングで「北朝鮮がハマスの攻撃方法を対南奇襲攻撃に活用する可能性がある」として、10月7日に敢行されたハマスの対イスラエル侵入作戦を細かく分析していると語った。

 合参が「現在進行中」の国際問題について情報分析結果を公開するのは異例だ。韓国政府と韓国軍は、今回のイスラエル・ハマス紛争が北朝鮮の対南戦略、韓国国内世論など韓国の国家安全保障にも影響を及ぼしかねないと判断し、緊急の保安検討を経て一部の事項を発表した。

 ハマスの武器の一部は北朝鮮の輸出品であることが調査で分かった。合参は「メディアで報じられたハマスの対戦車兵器F7は、北朝鮮がRPG7を輸出する際に用いている名称」と説明した。ハマスの占領地であるガザ地区や、レバノンの親イラン武装勢力「ヒズボラ」の活動地に近いイスラエル北部国境一帯では最近、信管にハングルで「パン-122」と表記された北朝鮮製122ミリ放射砲弾(多連装ロケット砲弾)と推定されるロケット弾が見つかった。合参関係者は「北朝鮮がさまざまな武器を中東地域の国や武装団体に輸出している状況が引き続き識別されている」と語った。ハマスやヒズボラが北朝鮮のロケット弾を使っている可能性が高いのだ。

 さらにハマスは、戦術規範の面でも北朝鮮と類似点が多いと分析された。合参は、今回のハマスによる攻撃が▲休日早朝の奇襲攻撃であること▲大規模なロケット発射で「アイアンドーム」(ロケット砲防御システム)を無力化していること▲分離障壁に設置された各種の監視・通信・射撃コントロールシステムを無人機攻撃で破壊した後に侵入していることは、韓国側が予想する北朝鮮の「非対称攻撃の様相」とそっくりだと評価した。特に、今回のハマスのパラグライダー侵入は、北朝鮮が伝授したものという可能性が提起された。2010年代中盤、韓国の前方地域に科学化警戒システムが構築されると、北朝鮮は地上潜入に制限がある状況を克服するためパラグライダーを利用した空中潜入訓練を強化したといわれている。北朝鮮は2016年12月、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の主管で、パラグライダーなどを活用して青瓦台を襲撃する訓練を公開したが、こうしたノウハウや戦術規範などがハマスに伝授されたこともあり得るのだ。

 韓国軍は、イスラエルの虚を突いたハマス式ゲリラ戦術を北朝鮮が対南攻撃に活用するシナリオも分析している。6・25戦争時のように開戦当初から戦車・装甲車を駆って押してくる方式ではなく、陸海空の潜入部隊で人質を取るなどソウルや韓国首都圏の中心地を混乱状況に陥れた後、全面戦に移っていく「ハイブリッド戦」を駆使することもあり得るのだ。さらに、この過程で「大統領が暗殺された」というようなフェイクニュースを流布したり、サイバー攻撃でカカオトークなど各種の通信システムをかく乱したりする心理戦が繰り広げられることもあり得る-と韓国軍関係者は伝えた。実際、今回の紛争の初期に、イスラエルでは「ネタニヤフ首相が緊急搬送された」というような虚偽情報が広まり、イスラエル国民だけでなくイスラエル軍や安全保障部局でも一時的に動揺が起きた。

 合参は、ハマスによる攻撃時にイスラエル側の早期警報システムがきちんと作動しなかった問題などを教訓として韓米連合偵察監視アセット(軍事資産)を有機的に運用し、北朝鮮の異常な兆候を集中監視して、また北朝鮮の長射程砲に備えて対火力戦の遂行方法の発展や迎撃システムの戦力化を推進することとした。フェイクニュースなどで恐怖と混乱を造成する心理戦にも対応できる軍事対備態勢を強化することとした。韓国軍は、「韓国型アイアンドーム」と呼ばれる長射程砲迎撃システム(LAMD)を2026年までに開発する計画だ。

盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者

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