▲写真=UTOIMAGE

 「韓国移籍は今年6月ごろから考えていました。韓国は国際戦を重視していて、強い棋士も対局数も多いです。より高いレベルの環境で勉強することが、今の私には必要だと思い、決断に至りました。強くなって尊敬される棋士になりたいです」

 14歳の日本人少女囲碁棋士・仲邑菫女流棋聖の韓国移籍が決まった。仲邑さんは30日、東京都千代田区の日本棋院で行われた記者会見で、「強くなりたい」という言葉を繰り返した。そして、「いつか戻って、日本の囲碁界に役に立てるようになりたいです」と誓った。しかし、復帰の時期には言及しなかった。

 韓国棋院は26日に開かれた理事会で、仲邑さんの客員棋士活動を許可した。客員棋士とは、「入段大会など既存の規定の他に、韓国棋院が認めて棋士として活動する者」と規定されているが、一般棋士との差はほとんどない。仲邑さんの韓国での公式活動は2024年3月2日以降となる。

 日本でプロとしてスタートし、海外に活動の舞台を移した棋士は、仲邑さんが初めてだ。日本の囲碁界は仲邑さんの移籍により、「才能のある棋士の流出が広がる」と懸念する声と、「スポーツのように進んでいる国へ進出することにより飛躍を図るべきだ」という声が入り交じっている。

 仲邑さんは日本棋院が導入した「英才特別採用推薦棋士」1号だ。この特例に支えられ、2019年当時、過去最年少(10歳0カ月)でプロになった。そして、13歳11カ月だった今年2月には女流棋聖戦を制し、日本最年少優勝記録も塗り替えた。

 ところがそれ以降、仲邑さんは韓国で活動したいという意思を周囲に明かし始めた。移籍推進の過程について、仲邑さんは「両親と相談はしましたが、自分で決めました」と説明、「お世話になった先生方には本当に感謝しています。同世代の棋士仲間と過ごせた時間は、かけがえのない宝物です」と語った。

 仲邑さんは6歳だった2015年、韓国に来て韓鐘振(ハン・ジョンジン)囲碁道場で約2年間学んだ。このため、韓国にはライバルや友人が多い。韓国料理も好きで、この日の会見では「毎日、囲碁仲間と一緒にキムチチゲを食べられるのでうれしい」と話した。

 来年初めの女流棋聖戦でタイトルを防衛した場合は返上することになる。韓国に来たら韓鐘振道場を拠点に修行し、仲邑さんの母親が両国を行き来して娘の世話をする計画だという。仲邑さんは最も尊敬する韓国の棋士に朴廷桓(パク・ジョンファン)九段を挙げた。

 今、韓日両国の視線は、仲邑さんが韓国でどのようなタイトルを占めるのかに注がれている。仲邑さんは日本の女流メジャー棋戦で優勝1回、準優勝2回を記録し、現在は女流棋聖というタイトルを持っている。

 仲邑さんは今年、韓国女子リーグに外国人選手として参加し、7勝2敗(勝利数ランキング9位)だった。これは、中国女子甲級リーグ(1勝5敗)や国際大会(1勝3敗)での成績を上回る。今年の日本国内での戦績は18勝18敗で、昨年(48勝22敗)より下がった。

 韓国棋院のランキング方式で計算した仲邑さんの現在の韓国における順位は女子棋士81人中26位だ。鄭寿鉉(チョン・スヒョン)九段は「適応する時期を経たら10位圏内は十分だろう」と予想した。李賢旭(イ・ヒョヌク)九段も「日本国内では3位、韓国に来れば10位程度」とみている。師匠の韓鐘振九段は「10位圏からスタートし、3年以内にタイトルを取る」と予想した。

 金恩持(キム・ウンジ)七段(16)ら「英才棋士のライバル」たちとの競い合いを通じた相乗効果も期待される。金恩持七段とは公式戦で2回対戦し、勝利できていない。韓国女子リーグで共に外国人選手として活躍した中国の呉依銘四段(17)には3敗している。

イ・ホンリョル囲碁専門記者

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