▲池田大作名誉会長

 日本を代表する親韓派の宗教家とされる創価学会の池田大作名誉会長が老衰で死去した。95歳だった。「価値を創造して学ぶ」を意味する創価学会は日本で800万人以上の信徒を持つ仏教系の巨大新興宗教で、韓国を含む192の国や地域でSGI(創価学会インターナショナル)という名称で活動を続けている。韓国では「南無妙法蓮華経」という創価学会の念仏もよく知られている。

 1928年に東京で生まれた池田氏は、第2次世界大戦で敗戦となった日本の民衆に「現世の幸福を追求すれば幸福になれる」という平和主義を唱えた人物だ。19歳だった1947年に創価学会に入信し、32歳で会長となった時には信者数わずか5000人ほどだった創価学会を巨大組織に育て上げた。1964年に池田氏が中心となって創設した公明党は現在自民党と共に日本を率いる連立与党になっている。1975年には海外での布教を目的にSGIを創設した。

 池田氏は「戦争を経験した世代の最後の親韓派」とされている。軍国主義による戦争の悲惨さを知る日本の知識人たちは戦後の平和憲法を支持する最大の勢力となり、池田氏もその一人だった。戦争を知らない安倍晋三元首相ら戦後世代とは異なっていた。池田氏は生前「韓国は日本にとって文化大恩の国」と語り、日本の学生たちに世宗大王や李舜臣(イ・スンシン)将軍、柳寛順(ユ・グァンスン)女史、安昌浩(アン・チャンホ)先生など韓国の偉人について教えた。また「在日韓国人に参政権を与えるべきだ」と一貫して主張を続けてきた。

 池田氏はSGIの機関紙「和光新聞」に「豊臣秀吉による日本出兵(壬辰〈じんしん〉倭乱)は朝鮮から受けた文化的恩恵を踏みにじる侵略だった」「日本は韓国と友情を結び、韓国を尊敬し、韓国の心を学ぶことで平和と繁栄の方向へと進むことができる」などの言葉を残している。そのため日本の右翼から強く批判されてきた。

 1997年の韓国大統領選挙では韓国SGIが実際に政治参加し、当時の金大中(キム・デジュン)新政治国民会議候補を支持したが、これも池田氏の持論に従ったものだという。当時韓国SGIの会員数は120万人ほどで、うち有権者は60万-80万人と推定されている。当時の大統領選挙で金大中候補はハンナラ党(現:国民の力)から出馬した李会昌(イ・フェチャン)候補を約30万票差で破った。

 韓国と日本の橋渡しの功労が認められた池田氏は2009年に韓国で国家勲章(花冠文化勲章)を受けた。南北関係改善に向けた6者協議の制度化なども提言していた。

 英国の歴史学者アーノルド・トインビーら世界の知識人らとの対談もよく知られている。1970年代にはトインビーとの対談集「21世紀への対話」を出版し、冷戦が激しかった70年代中盤には中国の周恩来首相、旧ソ連のコスイギン首相とも会談した。その後も旧ソ連のゴルバチョフ元大統領、中国の胡錦濤・元国家主席、国連のアナン元事務総長ら各国の指導者らと「平和」をテーマに会談し、これらをまとめた書籍だけで70冊以上に達する。日本ではノーベル平和賞候補に名前が挙がるほどだった。

 19日付の読売新聞は1面で池田氏死去を報じた。同紙によると、故人は本人の自伝的小説「人間革命」で「戦争ほど残酷なものも、悲惨なものもない」と訴えていたという。日本の岸田文雄首相はX(旧ツイッター)で「池田大作氏の御逝去の報に接し、深い悲しみに堪えません」とツイートした。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員

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