▲京畿道城南市盆唐区大庄洞の土地開発/写真=NEWSIS

 韓国大統領選介入世論操作事件を巡り、検察が大統領選当時、共に民主党関係者のK氏が「尹錫悦(ユン・ソンニョル)よる捜査もみ消し」という虚偽報道に関与していた具体的事実を把握したことが21日までに分かった。現在民主党で国会政策研究委員を務めるK氏は当時、民主党の「火天大有タスクフォース(TF)」で調査チーム長を務めていた。当時のTF委員長は金炳旭(キム・ビョンウク)議員だった。

 問題の虚偽報道は、尹錫悦大統領が検事だった2011年当時、釜山貯蓄銀行を捜査した際、大庄洞開発の融資ブローカー、チョ・ウヒョン氏の疑惑を覆い隠したという内容だ。民主党は記事を根拠に大統領選の選挙戦で「大庄洞事件の本丸は尹錫悦だ」と攻勢を繰り広げた。

 ソウル中央地検の特別捜査班は当時、K氏が大庄洞関連の民間業者やマスコミの記者らと接触した形跡を一部つかんだという。

 その一つが「捜査もみ消し」が事実だったと断言してくれる民間業者との接触だったという。当時民間業者が「事実に反する」と言ったが、検察はK氏がそれを無視して虚偽の疑惑を広めたとみているもようだ。

 本紙の取材を総合すると、K氏は21年11月中旬、大庄洞の初期事業者であるイ・ガンギル元シーセブン代表と接触した。K氏はイ氏に「チョ・ウヒョン氏が11年5月、大検察庁中央捜査部の取り調べを受けた当時、大庄洞事業に関する調べがあったのか」「イ氏が中央捜査部の取り調べを受けた際、(大庄洞開発の)融資あっせん料やチョ氏の役割について供述したのか」などを尋ねた。当時民主党と一部メディアは「尹錫悦捜査もみ消し疑惑」を主張していた。これに対し、イ氏は「チョ氏が検事からどんな取り調べを受けたのか(私は)知らなかった」「私は面談をしただけなので、(大庄洞について)特別な質問はなかった」と答えたという。

 金氏はイ氏に「(李明博=イ・ミョンバク=大統領の実兄)李相得(イ・サンドゥク)元議員ら政界が大庄洞融資に関与したのか」とも尋ねたが、イ氏は「大庄洞融資は担保融資であり、政界の支援は必要なかった」と答えたという。検察はそうした内容を含むメッセンジャーアプリでの対話内容の全貌を確保したとされる。

 K氏はマスコミ幹部を通じ、別の大庄洞事業の中心人物とも接触を試みた。その人物も「捜査もみ消し疑惑は事実ではない」とK氏に間接的に伝えたという。ただ、2人が直接会うことはなかったとされる。

 一方、検察捜査のもう一つの分岐点は、虚偽報道を行った一部記者とK氏の「癒着」疑惑だ。K氏が大庄洞関係者から「事実ではない」という説明を聞いた後も「尹錫悦捜査もみ消し」疑惑が実際に報道されるほどのレベルにまで編集された資料を一部記者に流した疑惑だ。

 まず、通信記録の解析によって、当時JTBCに所属していたニュース打破のP記者の携帯電話からK氏が作成した資料が発見されたという。P記者は22年2月、「尹錫悦検事がチョ・ウヒョン氏にコーヒーをいれた」という虚偽記事を報じた。P記者は記事に登場するチョ・ウヒョン氏に会い、事実ではないという説明を聞いたが、一方的に疑惑だけを報じた。検察はK氏の資料と問題の報道の前後関係などを解明しているという。

 検察はまた、K氏がインターネットメディア「リポアクト」のH記者の虚偽報道にも関与したものとみている。H記者は昨年3月1日、「チョ・ウヒョン氏のいとこと崔在卿(チェ・ジェギョン)元検事長の録音記録を入手した」と報じた。「尹錫悦捜査もみ消し」疑惑を間接的に支える内容だった。しかし、録音記録に「崔在卿」として登場する人物は金炳旭議員事務所の補佐官であることが明らかになった。

 検察は先月、H記者らに対する捜索令状の請求時に「K氏が録音記録を持っていたが、大統領選が近づくとH記者にそれを渡し、H記者らは録音記録の当事者、やりとりの趣旨を歪曲(わいきょく)して報じることを計画した」と指摘した。

 これに対し、K氏は本紙の電話取材に対し、「イ・ガンギル氏らは全く知らない。通話したり会ったりした事実はない」と主張した。P記者らに資料を渡した疑惑については答えなかった。P記者も「大統領選当時、K氏とは連絡を取っていない」とし、H記者は「K氏を知らず、録音記録を受け取ってもいない」と話した。

 法曹界からは「捜査が金炳旭議員ら上層部に波及する」との観測が出ている。

兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者

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