▲人工衛星打上げの際に笑顔を見せる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記/朝鮮中央通信、聯合ニュース

 北朝鮮は21日深夜に突如軍事偵察衛星「万里鏡1号」を発射した。この人工衛星は7-10日間の「細密操縦工程」を経て来月1日から正式に偵察任務を開始するという。北朝鮮が22日に明らかにした。万里鏡1号が地球軌道に正常に入ったとの主張に続き、それから数時間後の追加発表で「近日中に通常の活動を開始する」と予告したのだ。これが事実であれば、万里鏡1号と地上管制室との間で信号の送受信が正常に行われていることを意味する。韓国軍合同参謀本部は同日「衛星が正常に機能しているかどうか追加の分析を行っている」とした上で「衛星が軌道に入ったとすれば、正常に機能していると評価する」とコメントした。

 北朝鮮の朝鮮中央通信は22日「万里鏡1号が太平洋のグアム上空で撮影した米軍の主要な軍事基地とその周辺の衛星写真について、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が航空宇宙技術総局から報告を受けた」と報じた。またグアムの米軍アンダーソン空軍基地や米海軍基地のあるアプラ港などにも言及した。

 金総書記は報告を受けた席で「今後は万里を見下ろす『目』と万里を攻撃する強力な『拳』を全て同時に手中に収めた」「わが国の軍事攻撃手段の効用性を高めるという観点からも、あるいは独自の防衛のためにもより多くの偵察衛星を運用する必要性が浮上している」と述べた。朝鮮中央通信が報じた。金総書記が言及する「拳」とは大陸間弾道ミサイル(ICBM)など様々な戦略ミサイルを意味し、また「目」は偵察衛星を意味すると考えられる。北朝鮮の人工衛星写真の解像度は縦横3メートルの点を一つとして識別できる3メートルレベルだという。韓国軍の偵察衛星の解像度は30センチで、米軍の偵察衛星の解像度は10センチレベルだ。

 非常に厳しい経済難にもかかわらず、北朝鮮は核兵器に加え人工衛星の開発にも執着しているが、これについて専門家は「核攻撃の正確さを高めることが目的」と分析している。北朝鮮の偵察衛星は低高度の目標軌道(高度500キロの太陽同期軌道)に入り、1日に3-4回韓半島上空を通過することでグアムや在日米軍基地に配備されている米軍戦略資産(兵器)の展開状況、あるいは主要な標的の配置や移動状況も監視できる。万里鏡1号が撮影した最初の写真として北朝鮮が金総書記に報告したものが「グアムにある米空軍基地と海軍基地だった」と報じたことも、その人工衛星開発の目的を示すものと考えられる。ある韓国軍関係者は「中国は『両弾一星』を掲げ原子弾や水素弾、さらに人工衛星を全て持つとしているが、北朝鮮はこれを参考に『核拳』に加えこれを使う『目』を持つことを宿願事業としてきた」と説明した。

 専門家は「北朝鮮はロシアとの武器や技術の取引などを通じ、人工衛星とそれを打ち上げるロケット技術を急速に進展させている」との見方も示している。北朝鮮は今年5月と8月に二段ロケット以上の形で1回目と2回目の打上げにいずれも失敗したが、それからわずか89日後に問題を解決し、今回3回目の打上げを成功させた。北朝鮮は今年9月の金総書記とロシアのプーチン大統領との首脳会談後、当初10月に予定されていた3回目の打上げ日程を11月に先送りした。首脳会談で人工衛星関連技術の協力に合意し、これを3回目の打上げに生かしたと考えられる。

 韓国軍当局は「ロシアの技術諮問団が北朝鮮に直接出向いて支援を行った」とにらんでいる。韓国国防部(省に相当)の申源湜(シン・ウォンシク)長官は19日にメディアを通じ「ロシアの支援を受けてエンジンの問題点をほぼ解消したと判断している」との見方を示した。韓国国家安保戦略研究院ミサイルセンターの張泳根(チャン・ヨングン)所長は「ロシアのエンジニアが北朝鮮に行き、打上げ失敗の原因を分析した結果を検討し、当時のデータをロシアが確認・検証するという次元での支援が行われたと推定している」と述べた。韓国統一研究院北朝鮮研究室の洪珉(ホン・ミン)室長は「ロシアの技術諮問は従来の設計で技術的課題だったエンジン性能の改善、段分離の精密度向上などを中心に行われたはずだ」と推測した。

 北朝鮮は今後もさらに偵察衛星を打上げる計画だ。金総書記は同日「偵察衛星などをより多く打上げ、軌道に乗せて統合的・実用的に運用し、敵に関する価値あるリアルタイムの情報を豊富に提供し、対応態勢をより高めていかねばならない」と述べたという。

盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者

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