▲写真提供=ハンファオーシャン

 10年以上続いた長期低迷から抜け出し、好況を迎えた韓国の造船業界が最近、海外生産拠点の構築を再検討している。2000年代初めから半ばにかけての好況では、人件費を節減するためフィリピン、中国などに大規模造船所を建設した。その後不況で安値で売却した例もあるが、当時の失敗を教訓に国内の熟練工を派遣し、生産効率を上げたベトナム合弁造船所など成功例もある。4~5年分の受注を蓄積する中、韓国国内での慢性的な人材不足を打開し、最近事業を拡大している軍艦など防衛産業分野では海外にも生産拠点を設け、競争力も高める狙いだ。

■米国法人設立、サウジ合弁造船所試験稼働

 ハンファオーシャンは今年9月の理事会(取締役会)で米国法人の設立を決議した さらに、先ごろには増資で調達した1兆4971億ウォン(約1,710億円)のうち約4200億ウォンを海外への防衛産業拡張に向けた生産拠点構築と艦船の整備・修理・分解点検(MRO)企業の株式取得に充てる計画を明らかにした。60兆ウォンに達するカナダ潜水艦事業の受注など海外事業を拡大するために北米に生産拠点を確保する動きとみられる。米ペンシルベニア州フィラデルフィアにある「フィリー造船所」の買収説も浮上した。

 HD韓国造船海洋の子会社、HD現代重工業がアラムコなどサウジアラビアの国営企業と合弁で現地に建設した造船所IMIも今月から試験稼働に入った。大型ドック3個、巨大クレーン4基、岸壁7つなどを備え、年間40隻以上を建造可能だ。来年下半期に本格稼働に入り、造船所の株式20%を保有しているHD現代重工業は近隣に追加で船舶エンジン工場も建設している。

■韓国国内で人材難、納期遅延懸念で海外生産検討

 韓国造船企業の海外生産拠点設置検討は人材難が最大の理由とみられている。国内造船所のドックが数年先まで埋まっている状況で、作業員が不足するなど好況と人手不足が重なり、納期遅延の危険性が高まったことから、再び海外進出を検討し始めた格好だ。韓国造船海洋プラント協会によると、受注増加に対応するため、2027年までに約4万3000人の増員が必要と試算されている。造船業界関係者は「韓国の造船所の最も優れた競争力は建造能力と納期順守だったが、慢性的な人材不足で中小造船会社だけでなく、大型造船会社もスケジュールに支障が出ている」と話した。

 HD現代重工業はフィリピンのスービック造船所の設備を借用し、これまでにフィリピンに輸出した軍艦の修理を行う計画だ。メンテナンス事業への進出だが、今後の新造船事業拡大、さらにはスービック造船所の買収説まで取り沙汰されている。ただ、大宇造船海洋の中国・山東造船所、STX造船海洋の中国・大連造船所、韓進重工業のフィリピン・スービック造船所など数千億~数兆ウォン規模の海外投資失敗を繰り返すべきではないとの懸念もある。2000年代初めに好況を迎え、韓国造船各社は現地の安価な労働力で人件費を節減するため、海外造船所に大規模投資を行ったが、生産性は国内の造船所に比べ半分程度にとどまった。熟練工が極度に不足していた。

■ベトナムで合弁成功例…現地技術者の教育強化

 中国・フィリピンでの失敗例とは異なり、HD現代重工業の系列企業である現代ベトナム造船は成功例として挙げられる。1996年、現代尾浦造船とベトナム国営の合弁会社として設立された現代ベトナム造船は修理・改造事業を行い、2000年代後半に新造船事業に転換した。他の海外造船所が生産性低下で廃業に向かう中、現代尾浦造船から派遣されたエンジニア60人余りが常駐し、生産工程全般に韓国国内と同じ品質管理体系を採用した。その結果、ベトナムは造船業界で世界5位の国に成長し、現代ベトナム造船がこのうちシェア約74%を握る。業績は好調で、昨年700トンの巨大クレーンを新設し、今年の売上目標は約5億4380万ドル(約800億円)だ。

 フィリピンのスービック造船所で軍艦の保守・補修事業を検討しているHD現代重工業は、フィリピンの技術者60人余りを韓国・蔚山に招き、一緒に働くことで技術ノウハウを共有する。一部は既に投入されており、年末までに人員を増やす計画だ。同社関係者は「海外生産拠点が国内と同様の水準の技術力を維持することがカギだ」と話した。サウジ合弁造船所IMIにも今年末、エンジニア100人余りが派遣される予定だ。

李貞九(イ・ジョング)記者

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