韓国政府は12月5日、青年層の精神面における健康診断の周期を現在の10年から2年に短縮し、検査する疾患もうつ病から統合失調症と躁うつ病にまで拡大すると発表した。来年から精神障害の中・高危険群8万人にカウンセリングを提供し、2027年までに100万人がカウンセリングを受けられる体制を構築する。また、政府は10年以内に韓国国内の自殺率を現在の50%水準にまで減らすと発表した。

 同日、保健福祉部(日本の省庁に当たる)は「これまで重度の精神障害を患った患者の治療にのみ偏重していた福祉政策を予防と早期治療、日常回復などに向け大幅に変更する」と述べた。次いで「現在、韓国はOECD(経済協力開発機構)38カ国のうち自殺率はトップで、精神障害を患っている患者が社会的安全を脅かすような事態も発生している」とし「政府が国民の精神面での健康と関連し『予防から回復まで』全段階を管理する」と明らかにした。これについて尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「精神面における健康管理は社会安全保障に該当する重要な案件」と述べている。

 福祉部はまず、精神疾患の症状が悪化したり極端な選択につながらないようにカウンセリングを提供することにした。福祉部の関係者は「来年は精神疾患を患う患者のうち高危険群8万人を対象に1人当たり60分ずつ計8回の心理カウンセリングを提供するほか、徐々に対象者を拡大し、2027年までには100万人がカウンセリングを受けられるようにするのが目標」と話した。

 検索ポータルサイトのネイバーとコミュニケーションアプリのカカオトークを国家精神健康情報ポータルと連携し、誰でも精神面での健康チェックを行えるシステムも構築する。うつ病の可能性が疑われる国民については、国家精神健康情報ポータルの自己診断サービスを利用できるようにする計画だ。また、20-34歳の青年層は2年ごとに精神面における健康診断を受けるようにする。青年層の精神面での健康管理に力を入れるというわけだ。現在は20-70歳を対象に10年ごとに行われている。

 政府は24時間、全国どこでも精神障害を患っている患者に対して速やかに対応するため、17市道別の心理カウンセラーと警察合同対応センターを設置し運営する。自殺を試みたことで入院し、回復後に退院した患者は、精神科の専門医が必要と判断すれば、患者の同意なしに医療機関が関連情報を精神健康センターに提供することができる。重度の精神障害を患っている患者を脆弱(ぜいじゃく)階層とし、経済的な支援を行うとともに、障害判定を受けた患者には、これに特化した働き口も開発して提供する。精神障害を患った患者の社会的孤立を防ぐための措置だ。自己管理が可能な患者には「買い入れ賃貸住宅(個人・法人の所有する賃貸目的の住宅)」に応募できる機会も与える。

 精神障害を患った患者に対する偏見を改善することも、政府政策に盛り込まれた。国民向けのキャンペーンなどを通じて精神面での健康管理に関する情報を提供し、治療法を紹介。患者を孤立させようとする社会の雰囲気を変えていく取り組みも行っていく。学生や会社員などには自殺予防のための認識改善教育も行う。

オ・ジュビ記者

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