▲崔在天教授。/写真=ユーチューブのキャプチャー

 「やっぱり韓国の人々は実に賢い。進化的に、韓国人は本当にすさまじく適応がうまい民族だなと。(動物になぞらえるなら)状況が良くなってからひなを生むべきということ」。韓国の少子化問題について、進化生物学者の崔在天(チェ・ジェチョン)梨花女子大教授が出した答えだ。

 動画投稿サイト「ユーチューブ」に崔在天教授が開設しているチャンネル「崔在天のアマゾン」に今月14日、「国家消滅? 私はつらい思いをしているのに、それが重要なのか」というタイトルの動画がアップロードされた。この動画には、ソウル大学心理学科のチェ・インチョル教授、お笑いタレントのソ・ギョンソクとイム・ララ、ドッグトレーナーのカン・ヒョンウクが出演し、韓国の少子化問題について意見を交わした。

 ソ・ギョンソクは「国が支援すると言うけど、年月が経ても何も変わらず、根本的に社会が受け入れてくれない現実の中で(出生率は)悪化しているじゃないか」とし「制度的な裏付けがない上、出産をあまり重要に考えない夫婦が増えている。子どもを産む価値と自分のことを維持する価値を比較する状況が発生していると思う」と語った。

 次いでソ・ギョンソクは「世界的に少子化が課題になっており、数え切れないほど多くの努力が行われているから、0.7人(現在の韓国の出生率)が0.3人になる日ではなく1.8人に上がっていく世の中が来るだろうと思う」と語った。

 イム・ララは「出産しないといけない女性の立場で言うと、『国が消滅する』という話は、自分が飢え死にしそうな状況では何も役にも立たない」とし「合理的な抵抗という側面が大きい。出産できない理由は、結婚そのものをしないから。結婚できない(現実における)状況が若い人々を苦しめている。結婚の平均年齢がすごく高くなった」と語った。

 さらにイム・ララは「人は結局、自分の利益になる通りに生きるではないか。農業経済社会の時代は子どもを大勢産めば、子どもたちが自分の助けになった」と述べつつ「けれど最近は自分の身一つ保つのも大変で、30代まで両親の元にいて小遣いをもらっている若い友だちも多い。悲しいけど、(子どもは)必要ないのだから、もっと(出生率は)下がりそう」と語った。

 カン・ヒョンウクは「地球が受容できる人口は25億人だと聞いたが、今は75億人だから、人口減少は自然発生的な現象じゃないだろうか」とし「100年、200年後には人口がぐっと減るんじゃないだろうか」と語った。

 これに崔在天教授は「ある意味で、韓国の人々は賢い。他の面で言うなら、進化的な観点で、本当にすさまじく適応がうまい民族」とし「こういう状況は良くないが、動物らしく表現するならば、ひなを産み育てることができない状況でひなを産む動物は、絶対に有利な状況をつくり出せない。状況が良くなったときにひなを産むべき」と語った。

 崔在天教授は「私たちが一生懸命努力すれば、いつかは出生率1.8人、あるいは人口が減らない水準の出生率2.1人を回復する日が来ることもあり得るが、私は、そんな日が来なければいいと思う」とし「今は私たちが強引に、地球が人口を受け入れられる能力を大きくしている状態であって、いつまで維持できるかを考えてみるべき」「あらゆる環境問題は、究極的には全て人口問題だ。人があまりに多いから起きている問題なので、実際のところ私たちは減るべき」と語った。

 その上で崔教授は「過去数十年間、私たちはどれほど一生懸命努力したか。大韓民国は世界最速で産児制限に成功し、アフリカや他の国へ熱心に伝えていたのに、いきなり、自国民の数が減ってしまうと言って豊かな国々が元通り出生率を高めるのだから、全地球的には災厄」「経済学者らは、労働力が不足して生活が苦しくなるという心配するが、少数の国民でどのように人間らしく生きていけるかを模索すべき時代が来ている」と語った。

 崔教授は「全地球的に合意を実現できるのであれば、むしろ人口が徐々に減っていけば地球ははるかに暮らしやすい惑星になるだろう」「その先導的な役割を、もしかすると、今の大韓民国が果たしている」と語った。

■「少子化予算投入、もうちょっと積極的にやるべき」

 イム・ララは「天文学的な予算が少子化対策に投入されたというニュースばかり出るが、実際に体感できるものは別にない。こうしたものが裏付けになって(子どもを)産みたいと思う友だちが早く産み、幸せな姿をたくさん見せてくれれば、出生率は上がるんじゃないだろうか」と語った。カン・ヒョンウクも「産む気がない人をいじめるのではなく、産んだ人を称賛しよう。そのお金(政府支援)を全部集めて、子どもを産んだ人にあげればいい」と語った。

 これについて崔在天教授は「政府が多額のお金を投じたというが、実際のところ韓国政府は多くのお金を投じたわけではない。政府が投入したという予算は、付随的な部分に使った分も全部合わせたもの。世界的に見ると、お金をたくさん使った国の側には属さない」「(韓国政府が出生率向上に)お金を使おうと思うのであれば、今とは比較にならない予算を投入して、『出産』に焦点を合わせるのではなく環境をちゃんとつくってあげて、子どもを産み育てる人間が幸せな状況をつくってあげるべき。もうちょっと積極的で果敢な政策をやらないといけない」と語った。

イ・ヘジン記者

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