▲12月22日午前、ソウル中央地裁で開かれた公職選挙法違反事件裁判の一審続行公判に出廷する李在明・共に民主党代表。2023.12.22。/ニュース1

 進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表の選挙法違反事件で裁判長を務めるソウル中央地裁刑事34部の姜圭泰(カン・ギュテ)部長判事が、来月の裁判官定期人事を前に辞表を出したという。この事件の裁判を16カ月も引き延ばし、判決の言い渡しもしない状態で辞表を出したのだ。選挙法違反事件は、速やかな裁判のため一審を6カ月以内に終えるよう法で定めている。姜部長判事は既に10カ月も違法を働いた。判事として一抹の責任感や良心があるのなら、遅くなったとしても言い渡しは自分でやるべきだ。ところが、言い渡しは固辞して裁判も終えぬまま、辞表を出してしまった。重要事件の裁判長がこれほど無責任な行動を見せる例はあまりない。

 事件が複雑なわけでもない。この事件は、先の大統領選のときに李代表が「大庄洞開発の中心的実務者のことを知らなかった」「国土交通部(省に相当)の脅迫でペクヒョン洞開発が遅れた」と言って虚偽事実を公表し、その罪で起訴されたものだ。李代表は、「知らなかった」というその大庄洞開発実務者と共に外交旅行へ出かけ、一緒にゴルフをプレーした事実などが全て明らかになっている。長い時間がかかる裁判ではない。ところが姜部長判事は、正式な裁判に先立って事件の争点を整理する公判準備手続きに6カ月を費やし、最初から「2週間に1回」のペースで裁判期日を決めた。昨年8月以降は、李代表のハンガーストライキなどを理由に裁判を2カ月以上遅らせてやることもあった。昨年10月には「週1回の裁判を考慮してほしい」という検察の要請も受け入れなかった。判決言い渡しをやったら李代表に有罪を下さないわけにはいかないので、最初から言い渡しをしないように考えていた可能性が高い。

 さらに深刻な問題は、姜部長判事と共に同裁判部の陪席判事2人も来月交代する可能性が強いということだ。通常、刑事合議部の裁判長は2年、陪席判事は1年で交代するという裁判所の内部規則があるから。重要事件の裁判は、裁判の進行過程で起きたことや陳述のニュアンスなども判事の有罪・無罪の判断に影響を及ぼす。ところが裁判部が丸ごと変わると、こうした過程が全て途切れ、裁判はさらに遅れることになる。このこと自体が不義だ。この事件の裁判の進行過程を見ると、これは不義を超えて司法への介入、司法籠絡に該当する。

 今後、こうしたことがさらに起きる可能性もある。大庄洞開発を巡る汚職疑惑の民間業者関連事件を審理していた裁判部も、来月の異動で交代の対象になっており、李代表の大庄洞・ペクヒョン洞汚職疑惑の裁判長も来年2月の交代対象だ。大庄洞・ペクヒョン洞汚職事件は捜査記録だけでも数百冊に達し、来年2月までの判決言い渡しが難しいこともあり得るとの見方が多い。だとすると、これらの裁判部も、判決言い渡しをしない状態で判事が離任することになりかねない。裁判を進めるふりをするだけで判決の言い渡しは後任の裁判部に押し付けるという、判事たちの「ババ抜き」が、各所で起こりかねないのだ。裁判所の内規を変えて刑事専担の裁判官を置くなど、大法院(最高裁に相当)レベルで対策を整備すべきだ。

 李代表の拘束令状の審査を担当した判事は令状を棄却した。令状は棄却できる。しかし、その論理と法理は明確であらねばならない。ところが担当の判事が提示した法理は、人々をいぶかしがらせた。李代表の事件で関係者およそ20人が身柄をF拘束されたというのに、肝心の本人の令状が棄却された点も納得し難かった。その上、今度は、常識のある人間ならば誰でも判断できる虚偽事実公表事件で、裁判長が判決言い渡しを前に辞表を出して逃げ出すようなまねをした。今、李代表側は裁判を遅らせようと、持てる手段を動員して司法制度を籠絡している。姜圭泰判事は、この籠絡に加担したと見なすほかない。

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