▲韓国の警察官が着用しているさまざまな制服。今の制服は2016年6月に変更された。現場の警察官からは「制服を着た警察官を尊重する態度は以前ほどではない」と嘆く声が聞かれる。/警察庁

 ソウル市竜山区のある地区隊(交番)に勤務する警察官は1月初め、管轄地域の高級住商複合マンションでパトロール中にマンション警備員から「何人もの警察官が制服を着て歩いていると住民は不安に感じる。1人か2人で歩いてほしい」と言われ驚いたという。この警察官は「警察官が出動する場合の人数は状況によって変わり、われわれが勝手に決められない。警備員の言葉を聞いて非常に戸惑った」と語る。

 地区隊や派出所で勤務する現場の警察官が市民から「違和感、不安感」を理由に抗議を受けるケースが増えている。制服警察官がある集会現場周辺でトイレ使用を禁止され、別の建物でトイレを探すケースも多いという。警察のある関係者は「最近は制服警察への尊重が以前ほどではないようだ。勤務中は制服の着用が原則だが、制服を着るとぞんざいに扱われるのでモチベーションが下がることが多い」と述べた。

 制服を着用した警察官が高級マンションや団地で立ち入り禁止となるケースもある。ソウル市陽川区のある地区隊に勤務する警察官によると、管轄の高級マンション団地は基本的に警察官は立ち入り禁止で、民間の警備会社の担当者が来て入り口を開けなければ入れないそうだ。この警察官は「警備会社の警備員たちもわれわれを尊重していない」と語る。ソウル市内のある派出所に勤務する別の警察官も「高級住宅やマンション団地に入るには警備会社に開けてもらう必要がある。その場合も『どこに行くのか』などと細かく質問され、文字通り検問を受けるケースが多い」と話してくれた。一方で住民からは「制服を着た警察官がうろついていると、マンションのイメージが悪くなる」などの声が聞かれる。

 集会やデモなどの現場周辺ではビルのオーナーや商店主などが警察官のトイレ使用を禁止するケースもある。ソウル市内のある派出所に勤務する警察官によると、商業ビル1階のトイレは誰もが使用できるが、オーナーが使用を禁じた場合はトイレを探すため他の3-4カ所のビルを回るケースがあるという。そのため機動隊員らも現場でトイレを探すのがとても大変だ。ソウル警察庁のある機動隊員は「集会現場には衛生車両が帯同しないケースの方が多いが、現場では周辺の商業ビルや商店街のトイレ使用が拒否されることが多い」「清潔に使っているのだから、もう少し気遣ってほしいと思う」と述べた。

 現場の警察官らは食堂やカフェで市民から向けられる視線も冷たいと感じている。ソウル市内の別の地区隊に勤務する警察官によると、制服を着て食堂に入ると「なんで仕事もしないで食事するの」とよく言われるという。食事はもちろん、特にコーヒーなどは店に座ってではなくテイクアウトして地区隊で飲むことが今ではルールになったそうだ。このように制服警察官に対する冷たい態度はよく外国と比較される。警察の関係者は「米国では道端で制服を着た警察官に市民が感謝の言葉をかける様子がよく見られる」と語る。警察に治安を守ってもらって感謝するという意味合いからジュースなどを安く売るドーナツチェーンやコンビニもあるという。

 このような現状もあり韓国では制服警察官よりも内勤を希望する警察官が増えている。ソウル市内の派出所に勤務する警察官のチャンさんも、制服を着ていると周囲の目を気にしてそれなりの待遇が受けられないと感じている。そのため最近は現場よりも刑事や内勤など制服を着ない職務を希望する警察官が増えているそうだ。

 順天郷大学警察行政学科のオ・ユンソン教授は「制服を着た警察官がいるおかげで国の安全保障や治安システムが維持されている。制服に対する尊重や市民意識はもっと改善されるべきだ」と指摘した。

キム・ドヨン記者、キム・ボギョン記者

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