▲イラスト=UTOIMAGE

 「世界の民主主義事情がここ10年余りで最も悪化し、今年各国で行われる選挙の60%は欠陥のある不公正な選挙」という分析結果が公表された。英国の時事週刊誌エコノミストの調査部門EIUは15日に2023年度の民主主義指数を発表したが、それによると昨年全世界の民主主義指数は5.23ポイントで、調査が始まった06年以来最低を記録した。ちなみにこれまでの最低は21年の5.28ポイント。同指数は2015年に最高の5.55ポイントを記録してから下落傾向が続いている。EIUは「権威主義の広がりと新型コロナに続き、ロシアによるウクライナ侵攻、アフリカでの内戦やクーデターなどの影響で世界の複数の国で市民の自由が制限されるようになった」と分析している。

 EIUは毎年167カ国・地域を対象に「完全な民主主義(8点以上)」「欠陥ある民主主義(6-7.9ポイント)」「混合政治体制(4-6ポイント)」「独裁政治体制(4ポイント未満)」に分類している。昨年は全世界人口の39.4%が独裁政治体制で生活していたが、これは2022年の36.9%を2.5ポイント上回る数値だ。完全な民主主義で生活する人口は世界でわずか7.8%だった。EIUは「ロシアを非難、あるいは西側に同調する国に住んでいるのは全世界人口の約3分の1(36.4%)で、残り3分の2に相当する63.6%はロシアを支持あるいは中立的な国で生活している」と説明した。

 トップはノルウェーの9.81ポイントで14年連続1位、以下ニュージーランド、アイスランド、スウェーデン、フィンランド、デンマークの順となった。最下位はイスラム武装勢力タリバンが支配するアフガニスタン(0.26ポイント)で、2021年から3年連続最下位だ。北朝鮮も後ろから3番目(165位)だった。

 韓国は「完全な民主主義」に相当する8.09点で22位だったが、アジアでは台湾(8.92ポイント、10位)と日本(8.40ポイント、16位)よりも低かった。米国は7.85ポイント(29位)と8年連続で欠陥ある民主主義とされた。ロシアは2.22点で144位、ロシアとの戦闘が続くウクライナは5.06点で91位だった。ウクライナは「脆弱(ぜいじゃく)だった民主主義が戦闘でさらに弱まった」と評された。

 今年は世界40カ国以上で大統領選挙や国会議員選挙が行われる前例のない「選挙の年」だが、EIUは今年すでに行われたか、あるいは今後行われる各国の選挙で公正に行われる割合はわずか61%と予想しており、今回の調査はこれをある程度裏付ける結果となった。これまで行われた主要国の選挙で投票後も何らかの問題が起きたケースが非常に多いのがその理由だ。

 14日に行われたインドネシアの大統領選挙では現職国防相のプラボウォ氏の当選が確実視されているが、今のジョコ大統領の息子を副大統領候補に指名したため「世襲の道具にされた」との批判も起こっている。今月流血テロの中で行われたパキスタンの国会議員選挙では出馬が禁じられたカーン元首相を支持する候補者が数多く当選したが、カーン氏のライバルで軍の支持を受けたシャリフ前首相率いる連立内閣が政権を握り混迷が続いている。中米のエルサルバドルで行われた大統領選挙では中道右派のブケレ大統領が圧勝し、長期政権の道具として悪用されたとの批判が相次いでいる。憲法で「6カ月以上大統領に在任した人物の再選を禁じる」と定められているが、政権に近い人物で固められた憲法裁判所から有利な判決を引き出し出馬を強行したのだ。

 セネガルでは任期満了が近づいた現職の大統領が突然選挙を延期する前例のない事態となった。今月3日にセネガルのマッキー・サル大統領は国営テレビを通じて25日に予定されていた大統領選挙を無期限延期する政令に署名したと発表した。しかし憲法委員会が15日に大統領の発表を違憲と判断したため、政局は一層混乱を深めている。来月予定されているロシアの大統領選挙も主要候補が相次いで出馬を禁じられたため、事実上プーチン大統領の圧勝が確実視されている。

パリ=チョン・チョルファン特派員、キム・ナヨン記者

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