▲ソウル市鍾路区にある監査院。/new 1

 韓国政府の各部処(省庁)から在外公館に派遣されている駐在官のうち、駐在国の動向把握や韓国国民・企業に対する支援といった主な業務にまともに取り組んでいない駐在官がかなりの数に上ることが韓国監査院の監査で明らかになった。主要業務を真面目にこなさなくても勤務評価で最高等級がもらえるというずさんな評価制度や、在外公館での勤務を「褒賞」のように考える政府部処の慣行のためだとみられる。

▲ソウル市鍾路区にある監査院。/new 1

 監査院が2月20日に公表した「在外公館の運営実態」監査報告書によると、駐米大使館、駐中国大使館など主要在外公館14カ所に派遣されている駐在官44人が2022年に本国に送付した電文(公電)4114件のうち、半数以上の2143件(52.1%)が、駐在国の政府の文書やメディアの報道を「コピペ(コピー&ペースト)」あるいは翻訳・要約しただけの文書や、「一時帰国許可申請」「褒賞者推薦」などの単純な行政文書だった。駐在国の要人に会って非公開の情報を入手するとか、韓国国民や企業のための支援行事開催、韓国国民や企業から寄せられた問題の解決・処理といった「核心活動」に関する電文は1971件(47.9%)と半分以下にとどまった。

 「核心活動」の割合は、各駐在官によって大きな差があった。2022年の場合、駐フランス大使館の財経官、駐中大使館の財経官、駐日大使館の国税官、駐ブラジル大使館の商務官は、国民や企業から寄せられた問題を解決した実績が「0件」だった。駐日大使館の関税官は、本国に送った電文117件のうち108件(92.3%)が、日本の関税当局と韓国関税庁が締結した協約に基づいて自動的に提供される動向報告書を要約したものだった。この関税官が同期間に対応したという国民・企業からの要請14件のうち、12件は別の機関に丸投げしたか、電話やオンラインで単純な情報を提供しただけだった。

 中国による尿素輸出制限措置を迅速に把握できず、韓国での「尿素水不足騒動」の原因をつくった駐在官たちもいた。駐中大使館の関税官など経済関連部処から中国に派遣された駐在官らは、21年9月に中国政府が尿素の原料となる石炭不足によって尿素の輸出制限を検討し、同年10月13日に輸出制限措置をホームページで発表したにもかかわらず、これを把握できなかった。駐在官らは10月21日になって初めて、韓国企業からの情報提供によって輸出制限の事実を知り、本国に報告した。

 駐ニューヨーク総領事館の警察領事は2020年、管轄区域内に韓国国民が24人拘禁されていることを知りながら、誰とも面会しなかった。韓国の国民が正当な待遇を受けているか確認すべきだったにもかかわらず、事実上放置していたのだ。

 一方、駐中大使館や駐日大使館、駐上海総領事館の商務官は2022年の1年間だけでそれぞれ企業からの要請を40件以上解決するなど自ら駆け回って業務を遂行していた。駐中大使館の国税官、駐ニューヨーク総領事館の国税官などは、本国に送った電文の90%以上が駐在国の要人との接触内容、未公開情報の入手、企業からの要請の解決など、核心業務に関する内容だった。

 ところが、まともな業務をほとんど行っていない駐在官らに対して、不利益が加えられるケースはめったにないことが分かった。駐在官に対する在外公館長の評価が形式的だったり非常に甘かったりするからだ。2022年には駐在官の90%以上が、5段階評価で上から1等級・2等級の評価を受けていた。駐ニューヨーク総領事は同年「赴任して日が浅いため駐在官らの業務実績がよく分からない」として駐在官6人に全項目で最高等級の評価を与えた。勤務日218日のうち遅刻した日が150日(68.8%)あったにもかかわらず「誠実さ」の項目で最高評価を受けた駐在官もいた。このため、駐在官の本来の所属部処でさえ在外公館長の評価を信頼していないことが調査で分かった。

キム・ギョンピル記者

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