▲祖国革新党の曺国代表が12日、韓国国会で総選挙公約記者会見を終えて取材陣の質問を受けている様子。/ニュース1

 韓国の4・10総選挙に比例代表で出馬する曺国(チョ・グク)祖国革新党代表が12日、「22代国会最初の行動として韓東勲(ハン・ドンフン)特検(特別検察官)法を発議したい」と表明した。曺代表が提示した特検法の名称は「政治検察の告発教唆疑惑・尹錫悦(ユン・ソンニョル)検察総長懲戒関連疑惑・娘の論文代筆疑惑事件究明のための特別検事の任命等に関する法律」で、韓国語タイトルだけで51字に達する。「弾除け」のための政党づくりと選挙出馬に続いて、個人的な復讐(ふくしゅう)のための「1号立法」まで予告しだしたのだ。曺代表は、子どもの入試不正や大統領府特監班監察もみ消し疑惑などにより控訴審で懲役2年の刑を言い渡された状態だ。

 曺代表はこの日、韓国国会で開いた記者会見で「検察独裁政権の早期終息と司法正義実現のためのもの」だとしつつこのように語った。曺代表は、特検法が「さまざまな犯罪疑惑にもきちんとした捜査すら受けなかった検察独裁の皇太子、国民の力韓東勲非常対策委員長が平凡な人と同じく公正に捜査を受けるようにすべきという韓国国民の命令を尊ぶ行動」だと主張した。

 祖国革新党が出す特検法は、尹錫悦大統領と韓委員長がターゲットだ。(1)韓国検察が2020年4月の総選挙を前に、当時の柳時敏(ユ・シミン)盧武鉉(ノ・ムヒョン)財団理事長や崔康旭(チェ・ガンウク)元議員など野党側の人物を幅広く告発するようそそのかしたという、いわゆる「告発教唆疑惑」(2)尹錫悦大統領が検察総長(検事総長に相当)在職当時に受けた停職2カ月の懲戒に対する取り消し訴訟の控訴審で、法務部(省に相当)が敗訴して上告を放棄したのは職権乱用および職務放棄だという疑惑(3)韓委員長の娘の論文代筆疑惑-などを扱うと紹介した。曺代表は「尹錫悦検察総長、韓東勲大検反腐敗強力部長」時代に捜査を受けた。保守系与党「国民の力」は「公職を私益のために利用したいという破廉恥な発想」「厚顔無恥」と批判した。

 祖国革新党は党代表(曺国)、迎え入れ人材第1号(申荘植〈シン・ジャンシク〉スポークスマン)、迎え入れ現役議員第1号(黄雲夏〈ファン・ウンハ〉議員)が全て被告人もしくは前科持ちという特異な政党だ。「汝矣島版・蘇塗(罪人が逃げ込む聖域)党か」という批判が出ている。曺代表は控訴審で懲役2年、黄議員は一審で懲役3年を言い渡された。申スポークスマンは飲酒・無免許運転の前科4犯だ。弁護士の申スポークスマンに対しては、2021年6月に受任した事件を巡って2000万ウォン(現在のレートで約220万円。以下同じ)の受任料を「食い逃げ」したとして民事訴訟も起こされている。申スポークスマンは「全体の受任料は9000万ウォン(約1000万円)で、前金を2000万ウォンしか受け取っていない」とし、誠実に事件に臨んだという立場だ。祖国革新党は「比例政党」を旗印としており、この3人はいずれも比例候補として出馬し、当選認定圏に配置される可能性が高い、最近、祖国革新党の支持率は比例政党の中で20%前後を行き来しており、当選者数が10人を超えることもあり得るという話も出ている。

 12日にテレビ出演した曺代表は、「犯罪勢力連帯という批判がある」という質問に対して「尹錫悦政権と戦って被害を受けた人、政権と戦う意志がある人を推している」と語った。その上で「個人の有罪判決は個人が引き受けるべきもの」だとし「それとは別途に党をつくって出馬するのは公的なことであって、自分は欠陥があって不足だとしても尹錫悦政権と戦いたいという意志を持って活動することもまた最小限の政治的基本権」だと主張した。

 祖国革新党は、このように公然と「尹錫悦政権審判」を掲げており、国会入りした場合には大統領弾劾の先頭に立つものとみられる。曺代表はこの日、「祖国革新党は検察独裁早期終息に向けた砕氷船かつ民主進歩勢力勝利のタグボートになりたい」「(現政権の残る任期)3年はあまりに長い」と発言した。

 進歩(革新)系最大野党の民主党は、当面は選挙連帯において祖国革新党と距離を置くこととするもようだが、汎(はん)野党単一隊列をつくるという趣旨では悪くないという判断をしている。李在明(イ・ジェミョン)代表に近いある人物は「選挙は構図の戦いなので野党全体が一つのチームになる必要がある」としつつ「野党第1党の民主党ができないことを祖国革新党が代わりにやってくれることはあり得る」と語った。

 国民の力の朴正河(パク・チョンハ)首席スポークスマンは「無法、違法、不公正のアイコン曺国代表が『司法正義実現』という言葉をあえて口にすることができるのか」とし「いかなる手を使ってでも権力を奪い、これを利用して自分の犯罪容疑を覆したいという政治術数」と批判した。

金慶和(キム・ギョンファ)記者

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