▲写真=UTOIMAGE

 南シナ海で中国海警局の船がフィリピン船舶に放水した事案について韓国政府が懸念を表明すると、中国外務省が「言動に気をつけろ」と警告した。南シナ海問題に見解を表明した韓国を中国側が露骨に非難したのは、今月に入って2度目だ。12日にも中国外務省は「韓国は雰囲気にのまれて一緒に騒ぐな」と警告した。

 中国外務省の林剣報道官は28日の記者会見で、「韓国外交部(省に相当)報道官がこのほど、相次いで南海(南シナ海)問題に関して事実を無視した論評をした。中国は強い不満を示し、韓国に交渉を提起した(抗議した)」と述べた。そして、「韓国は南海問題の当事国ではない。最近の振る舞いは南海の平和・安定守護のためにならず、中韓関係の発展のためにもならない」と強調した。

 フィリピン当局は23日、南シナ海の領有権紛争地域であるスプラトリー諸島=中国名:南沙諸島=のセカンド・トーマス礁=フィリピン名:アユンギン礁、中国名:仁愛礁=付近の海域で、「我が国の補給船が中国海警局の船から放水攻撃を受けた」と発表した。中国海警局は「フィリピン船舶が中国領海を侵犯したため、法に従って規制措置を取った」と反論した。

 これに対し、韓国外交部の任洙ソク(イム・スソク)報道官は26日の定例記者会見で、「南シナ海でフィリピン船舶1隻に深刻な被害を与え、フィリピン船員の負傷を招いた最近の度重なる放水砲使用に対して、厳重な懸念を表明する」と述べた。その上で、「こうした行為は韓国を含むすべての国が利用する主要国際航路である南シナ海の緊張を高め、平和・安定・安全およびルールに基づく海洋秩序の維持を阻害するものだ」と指摘した。

 中国は南シナ海で複数の国々と領有権を争っているが、フィリピンとの対立が多い。2022年に親米系のフェルディナンド・マルコス大統領が就任して以来、中国とフィリピンの南シナ海衝突の頻度が急速に目立っている。

 今月5日の南シナ海における中国とフィリピンの衝突について、韓国外交部の任洙ソク報道官が7日に「南シナ海の緊張を高めている」と述べた時も、中国外務省は強く非難した。中国外務省の汪文斌報道官は12日、「韓国は長年維持してきた慎重な中立の立場をここ数年で変え、南海問題で何度も中国を影射したり(中国に当てこすりをしたり)、非難したりした。韓国には自分で自分のことをきちんとする(好自為之)よう望む。雰囲気にのまれ、一緒に騒ぐことはなく、中韓関係に不必要な負担を増やすことは避けるよう促す」と述べた。

北京=李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員

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