▲ペク・ヒョンソン Midjourney

 2000社を超えるスタートアップと約60社のベンチャーキャピタルが集まる東京・渋谷は日本のスタートアップの「聖地」と呼ばれる。グーグルの日本法人グーグルジャパンもある。地元・渋谷区は昨年、スタートアップを育成するために民間企業が参加する「シブヤスタートアップス株式会社」を設立した。日本で起業を希望する人のビザ取得を支援し、オフィススペースも提供する。日本国内だけでなく、海外のスタートアップも支援対象だ。

 オープンAIがアジア拠点として日本を選んだ背景には、最近日本政府主導で進行している「デジタルトランスフォーメーション」も影響を与えたとみられている。日本の総務省が昨年発表した情報通信白書によると、日本企業のデジタルトランスフォーメーション進行度は48.4%にとどまった。 米国(78.6%)やドイツ(80.6%)、中国(88.3%)の半分にすぎない。他の先進国に比べ遅れたデジタルトランスフォーメーションを加速したい日本政府は、政策的支援と巨額の予算で海外のIT企業とスタートアップを積極的に誘致している。

■自治体まで誘致作戦

 日本政府は海外のテクノロジー企業の中でもとりわけスタートアップを誘致しようとしている。日本政府は2027年までにスタートアップ市場に10兆円を投資すると発表し、外国人の起業に関する規制も緩和した。これまで外国人が日本で事業を行うためには、通常事務所と2人以上の常勤社員、500万円以上の資本金が基本条件として必要だった。売上高が少ないスタートアップは条件クリアが難しいという不満の声が上がったため、制度を変更。事務所や資本金などの条件を満たさなくても、事業計画が認められれば、2年間滞在できるように要件を緩和した。昨年4月に新設された特別高度人材ビザは、海外の専門人材に5年間のビザを発給するものだ。

 日本の大々的な政策変化は、グローバルIT産業の巨大な潮流にこれ以上遅れまいという切迫感があるためだ。日本では過去にIT投資が低調で、世界的なトレンドだったデジタルトランスフォーメーションの時期を逸し、産業全体の競争力を大幅に低下させた。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、日本のIT投資は2000年の1998億ドルから2020年には1757億ドルにまで減少した。同じ期間に米国のIT投資は4195億ドルから7834億ドルへと約2倍に増えた。米国と日本の格差は2000年の約2.1倍から20年には約4.5倍にまで拡大した。

■日本に投資するビッグテック

 日本がデジタルトランスフォーメーションを本格的に推進すると、ビッグテック(世界で支配的な影響力をもつ巨大IT企業)は爆発的に拡大するITインフラ需要を狙い、最近日本への投資を増やしている。マイクロソフト(MS)は昨年、日本国内のデータセンターを拡充し、生成型人工知能(AI)事業の拠点として活用する計画を明らかにした。MSは「チャットGPT」の情報処理を日本国内で完結する方式で政府・企業向けサービスを提供することにしている。そうしたサービスは米国、欧州に続き日本が3地域目で、アジアでは初めてだ。

 アマゾンウェブサービス(AWS)も3月、2027年までに日本に約2兆3000億円を投資すると発表した。データセンターの増設と運営体制の強化に投じる予定だ。急増する日本のクラウド需要をつかみ、生成型AI市場に対応することが目的とみられる。グーグルは同月、東京にアジア太平洋地域では初めてサイバー防御拠点を開設した。

 日本のデジタルトランスフォーメーション需要に加え、政府支援が拡大されたことで、日本に進出する韓国のスタートアップも増えている。AI開発の基盤となる企業向け大規模言語モデル(LLM)サービスを提供するオルガナイズは、日本でLLMアプリ開発ツールとLLMアプリを販売している。東京都が昨年末から進めている「海外企業誘致促進事業」には、これまでに韓国のスタートアップ7社が選ばれた。7社を含む対象企業18社には、東京都が法人設立費用など最大1億円を支援する。

卞熙媛(ピョン・ヒウォン)記者

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