▲曺国代表(前列中央)をはじめとする祖国革新党の関係者らが10日、国会議員会館で、地上波テレビ3社の出口調査結果を確認して喜んでいる様子。出口調査では、祖国革新党は12-14議席を得ると予想された。/李徳勲(イ・ドクフン)記者

 韓国の進歩(革新)系新党「祖国革新党」は、10日に行われた総選挙の出口調査で比例代表議席を12から14得るものと予測された。今年3月初めに「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権審判」を掲げて総選挙に飛び込んだ新生政党が、院内第3党の座を占めることになるのだ。

 祖国革新党の曺国(チョ・グク)代表は10日午後6時、韓国国会の議員会館に用意された開票状況室で地上波テレビ3社の出口調査結果を見守った。曺代表は「結党してから1カ月余りの祖国革新党に熱い支持と声援を送ってくださって本当にありがとう」としつつ「尹大統領はこれまでの数多くの失政と不正について国民に謝罪せよ」と語った。また曺代表は「(第22代国会)開会後、直ちに『韓東勲(ハン・ドンフン)特別検察官法(特検法)』を発議したい」とも述べた。

 曺代表が先月3日に新党結成大会を開いた時点で、祖国革新党の躍進を予測した人物は韓国政界にほとんどいなかった。選挙区に候補者を出さず比例代表政党を旗印とした祖国革新党は、4年前の21代総選挙で比例代表候補のみを出した「開かれた民主党」(3議席)程度の成果にとどまるだろう-という見方が多かった。ところが祖国革新党は、結党後、各種の世論調査で進歩系最大野党「共に民主党」の比例衛星政党である「共に民主連合」までも上回り、ブームを起こした。

 当初、韓国政界には「子どもの入試不正などにより一審・控訴審で懲役2年の刑を言い渡された曺代表が、総選挙キャンペーンの過程で『司法リスク』の鎖を解くのは容易ではない」という見方も多かった。しかし曺代表は「大法院(最高裁に相当)で刑が確定して監獄に行けといわれたら行く」とし、自分は「尹錫悦検察」が主導する無道な捜査のスケープゴートだと主張した。曺代表のこうしたキャンペーンの基調を巡っては、2019年の「曺国問題」時に発覚した一家の不正を「政治弾圧」の論理で覆い隠そうとする、ネロナムブル(私がやったらロマンス、他人がやったら不倫。ダブルスタンダード)だという批判が出た。しかし野党側の関係者は「曺代表の全国的認知度と、尹錫悦政権審判を掲げて『3年は長すぎる』という鮮明なメッセージを出したことが、反尹傾向の有権者を結集させる効果を生んだ」と語った。

 曺国問題当時、法務部(省に相当)長官を務めていた同氏が、検察の捜査を受けて閣僚のポストから退き、ソウル大学教授の職からも解任され、妻の鄭慶心(チョン・ギョンシム)氏は4年の刑が確定して服役していることも、野党側支持層の同情を大きくした、との解釈もある。曺代表が、自分に対する捜査を指揮した検察総長(検事総長に相当)から大統領になった尹大統領に向けて「私と同じ基準で尹錫悦・金建希(キム・ゴンヒ)・韓東勲を捜査せよ」と攻め立てたことも、検察に対する反感が強い支持層を結集させる効果を上げた、という見方もある。

 曺代表は選挙キャンペーン中、「地域区(選挙区)は民主党、比例は祖国革新党に入れてほしい」という、いわゆる「地民比祖」のスローガンを掲げた。李在明代表率いる共に民主党のけん制を回避しつつ野党支持層を結集する戦略、という解釈が出ている。そうしつつも、遊説の間はずっとネギを持ち、尹政権が発足してから国民生活の苦労は深刻になったと宣伝した。こうしたキャンペーンを通して祖国革新党は、李在明代表の司法リスクと「非明横死」公認に失望して棄権しかねなかった非李在明・親文在寅(ムン・ジェイン)系支持層の代案として浮上した-という評価も出ている。野党側の関係者は「比例党の『共に民主連合』に進歩党などが合流したことに不安を感じた伝統的な野党支持層、李俊錫(イ・ジュンソク)・李洛淵(イ・ナクヨン)連帯が白紙になったことでリベラル系中道層の一部も、祖国革新党が結集させたようだ」と語った。

 祖国革新党は、第22代国会で新進歩連合・進歩党などと連帯して院内交渉団体(20議席)の結成を試み、改革新党・「新しい未来」とも「金建希特検法」推進を接点として連帯に乗り出す可能性がある。だが、曺代表をはじめ朴恩貞(パク・ウンジョン)、黄雲夏(ファン・ウンハ)、車圭根(チャ・ギュグン)など当選圏の候補多数が検察の捜査を受けていたり起訴されていたりするなど、司法リスクを抱えている。申荘植(シン・ジャンシク)、金峻亨(キム・ジュンヒョン)など、かつて行動や身の上に関連して論争に巻き込まれた候補もいる。祖国革新党がブームを引き起こしたことで、大法院における曺代表の裁判が影響を受けるのではないか、という見方も政界や法曹界から出ている。「国会を防弾のための蘇塗(罪人が逃げ込む聖域)にするのか」という批判だ。

ウォン・ソンウ記者

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