韓国銀行が25日発表した韓国の今年第1四半期(1~3月)の国内総生産(実質GDP・速報値)は輸出と内需のダブル回復に支えられ、前期比1.3%増となり、9四半期ぶりに0%台の低成長のトンネルを抜け出した。昨年通年の成長率(1.4%)を年初3カ月でほぼ達成した格好だ。韓国企画財政部は、今年通年の成長率も政府予測値(2.2%)や韓国銀行の予測値(2.1%)を上回る可能性が高まったとの見方を示した。前年同期比では3.4%増で、2%前後と推定される潜在成長率をはるかに上回った。

 第1四半期の成長率(前期比)は2021年第4四半期(1.4%)以降で最高だ。韓国の経済成長率は2022年第1四半期に0.7%を記録して以降、昨年第4四半期まで8四半期連続で1%を下回った。同年第4四半期にはマイナス0.3%まで低下した。

 今年第1四半期は輸出と内需がいずれも改善し、市場予想(0.5~0.6%)を2倍以上上回る「サプライズ成長」を記録した。昨年10月からプラスに転じた輸出は、今年第1四半期にも半導体を中心に好調を示し、前期比で0.9%増加した。民間消費と建設投資もそれぞれ0.8%、2.7%成長した。崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官は「輸出の好調に加え、消費、建設投資など内需回復がいずれも寄与したバランスの取れた回復傾向を示した」とし、「久しぶりに韓国経済の成長の行方に『はっきりした青信号』が灯った」と話した。

 政府財政に頼らない民間主導の成長という点も意味がある。第1四半期の成長率を民間部門と政府部門に分類すると、民間の寄与度が1.3ポイントで、政府は0ポイントだった。第1四半期の成長全体を民間が担った格好だ。ソウル大学経済学科のアン・ドンヒョン教授は「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が財政の健全性を守ろうとしたにもかかわらず、成長率が回復したという点で意義がある」と話した。

 今年第1四半期の急成長をけん引したのは、これまで回復傾向を示した輸出ではなく、長期低迷に陥っていた内需の回復だった。 第1四半期の民間消費は、衣類などの財貨や飲食、宿泊などのサービスがいずれも伸び、前期比0.8%増だった。韓国銀行のシン・スンチョル経済統計局長は「年内の利下げ期待による消費心理回復、外部活動の増加、新型スマートフォンの発売効果などが作用した」と説明した。建設投資も2.7%増加した。昨年より天候が穏やかだったため、建設作業の進行が順調だったためだ。

 昨年第4四半期には内需の成長寄与度がマイナス0.4ポイントにとどまった。内需が成長の足を引っ張ったことを意味する。一方、今年第1四半期は成長率1.3%のうち、内需の寄与度が0.7ポイントへと大幅に回復した。輸出から輸入を差し引いた純輸出の寄与度は0.6ポイントだった。内需と純輸出がいずれも成長率を引き上げたことになる。

 政府が資金を供給することで成長率を人為的に引き上げるのではなく、民間の力で成長を支えたことはこれまでとは異なる。「財政中毒」と「負債主導成長」という批判を受けた文在寅(ムン・ジェイン)政権下の2019年第2四半期には政府の成長率寄与度が1.3ポイントに達した。政府が実弾を節約したことで、外部からの危機に際し、財政出動を行う余力が生まれた。

 ただ、3年間続く物価高と高金利で、国民が体感する景気とはややかけ離れている。昨年第4四半期の内需が極度に不調だったため、数値的にその反動が見られた側面もある。韓銀のシン経済統計局長は「内需が回復傾向に転じたというよりも、緩やかな回復傾向を示していると評価すべきだ」と話した。1年前と比べた民間消費の伸びは1.1%で、GDP成長率全体(3.4%)の半分にも及ばなかった。

 一方、米商務省は同日、今年第1四半期の米国のGDPが年率換算で前期比1.6%(年率換算)だったと発表した昨年第4四半期(3.4%)を下回ったほか、市場予想(2.4%)にも及ばなかった。

金垠廷(キム・ウンジョン)記者

ホーム TOP