サッカー韓国代表チームのDF金ミン哉(キム・ミンジェ、27)=バイエルン・ミュンヘン=は順風満帆だった。中国でプレーしていたが、25歳でトルコのフェネルバフチェに移籍し、初めてヨーロッパに進出した。2021-22シーズンにトルコ・リーグで圧倒的な活躍したことにより、翌2022-23シーズンにはビッグ・リーグであるイタリア・セリエAのナポリに移籍した。そして、ナポリでも大活躍し、セリエAの「今年のDF賞」を受賞した。2023-24シーズン前には、世界最高チームの一つである独バイエルン・ミュンヘンのラブコールを受けて入団した。バイエルン・ミュンヘンはチーム史上3番目に高い移籍料5000万ユーロ(約83億ウォン)を払った。

 ところが今月1日、金ミン哉はヨーロッパ進出以降、最悪の夜を過ごした。同日行われた欧州サッカー連盟(UEFA)チャンピオンズリーグ準決勝のホームゲーム第1戦で、相次ぐミスにより2ゴールを献上したのだ。しかも相手はバイエルン・ミュンヘンが10年間勝てていないライバル、スペインのレアル・マドリードということで、なおのこと致命的だった。金ミン哉は0-0だった前半24分、いきなり前に飛び出して相手のパスの行く手をふさいだ。 レアル・マドリードのFWヴィニシウス・ジュニオールは、そのすきを逃さず金ミン哉の裏のスペースに入ってすぐにGKと1対1のチャンスを作り、右足で先制ゴールを決めた。

 後半戦開始後すぐにレロイ・サネ、ハリー・ケインがゴールを決め、バイエルン・ミュンヘンは2-1でリードした。このまま勝利で終わるのかと思われた後半戦終盤、金ミン哉のもう一つのミスが飛び出した。後半37分、ペナルティー・ボックスの中でドリブル突破に出たレアル・マドリードのロドリゴ・ゴエスに金ミン哉が足をかけ、荒々しく倒した。これはPK判定につながり、ヴィニシウスが同点ゴールを決めた。試合は2-2の引き分けに終わった。

 バイエルン・ミュンヘンはチャンピオンズリーグで10年間、レアル・マドリードを越えることができなかった。2011-12シーズンにベスト4でPK戦まで持ち込み、かろうじて勝ったのが最後の勝利だ。この日は第1戦の勝利もあって勢いに乗ることができたはずだったが、金ミン哉のミスにより水の泡となった。第2戦はアウエーゲームなので、さらに厳しい。

 バイエルン・ミュンヘンのトーマス・トゥヘル監督は、「金ミン哉はあまりにも貪欲(どんよく)な守備をする。プレスをかける状況ではなかったので、あそこで金ミン哉を助けることができる人は誰もいなかった」と語った。PKを献上した場面についても、「突然、不必要な反則を犯した。あのような状況では、じっと立っていなければならない」と言った。

 独紙「ビルト」は金ミン哉に6点という点数をつけた。1点から5点までのうち、数字が小さいほど良い評点なのだが、6点は敗戦の元凶だと名指しされた時だけ付けられるもので、異例の酷評だ。ビルトは同日、紙面の第1面に「金ミン哉 大惨事(Kim Katastrophe)」と書いた。

 金ミン哉は果敢な、あるいは無謀な守備により、ずっと指摘を受け続けてきた。金ミン哉個人としても、後半期に差しかかり主力争いで遅れを取っていたため、さらに悪材料となっている。金ミン哉がUEFAチャンピオンズリーグで先発出場したのは、イタリアのラツィオとのベスト16戦以来、約2カ月ぶりのことだ。だが、この試合で手痛いミスを相次いで犯したため、残りのシーズンはさらに肩身が狭くなるものとみられる。

 それでも、バイエルン・ミュンヘンのキャプテン、マヌエル・ノイアーは「ミスは起きるものだ。金ミン哉は今日、完全に悪かったわけではなかったが、いくつかの重要な場面で正しい決定を下すことができなかったようだ。サッカーでは常にあり得ることだ」と語った。第2戦は韓国時間9日午前4時、レアル・マドリードのホームゲームで行われる。

イ・ヨンビン記者

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