▲写真=UTOIMAGE

 米国と中国が台湾海峡を巡って対立を続ける中、中国の3隻目の空母「福建」が初の試験航海を始めた。空母は建造、進水、停泊(係留)試験、海上試験の4段階の準備を経て実践配備されるが、最終段階に達したことで、今年中に正式に就役する可能性が高まった。新型空母の名前は、台湾の対岸に位置する福建省から取ったもので、中国の「台湾統一」の意志が込められているとの解釈が出ている。

 中国国営の新華社通信は1日、「福建」が同日午前8時に上海の江南造船所を出航し、試験航海を始めたと報じた。今回の航海では空母の推進力と電気システムの安全性などをテストする。これに先立ち、造船所のある揚子江河口では、この日から9日まで「軍事活動」を理由に海上交通の統制措置が取られたという。香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が報じた。

 「福建」は旧ソ連の空母のデザインをベースにした既存の「遼寧」、「山東」とは異なり、中国が独自に設計したことで注目を集めている。2012年に実戦配備された「遼寧」は、中国初の空母という象徴性はあるが、旧ソ連で開発が中止となった空母「ワリャーグ」を購入・改造したもので「ソ連のスクラップ船」と呼ばれている。「山東」は中国が独自に建造したとはいうものの、「遼寧」をまねて作ったため見た目がそっくりだ。

 このため「福建」は、「遼寧」「山東」に比べて性能面ではるかに上回る。満載排水量は8万トン以上で、10万トン超を誇る米国の空母よりは小さいが、6万トン前後の「遼寧」「山東」に比べると圧倒的に大きい。J-15や早期警戒機KJ-600など60機以上の艦載機が搭載されるとみられ、特に中国の第5世代ステルス艦載機FC-31が搭載される可能性が注目されている。

 また、「遼寧」「山東」は船首を船尾より高くした「スキージャンプ台」状のスロープを利用して艦載機を発進させるが、「福建」は電磁式カタパルト(射出機)を採用した。カタパルトを利用すれば、重武装した軍用機を短時間で多数発進させることができる。中国国営CCTVが公開した映像には、「福建」に設置された3基のカタパルトが鮮明に映っている。

 ただし、「福建」は原子力ではなく在来式動力を使用するため、電磁式射出機に必要な莫大な電力の確保が課題となる可能性がある。

 台湾国防部は、「福建」が実戦配備された場合、台湾に「実質的な脅威」を加える可能性があると懸念している。中国軍は台湾の総統選挙を控えた今年1月にも「福建」を公開し、台湾に警告メッセージを送った。中国は米軍の空母船団が台湾海峡から1000キロ以内に進入できないようにする海軍力を備えることを目標にしている。また、2030年までに最低でも4つの空母船団を構成し、米国に次ぐ世界第2位の大洋海軍を育成する計画だ。このため35年までに計6隻の空母を確保しようとしている。中国が空母に力を入れて海軍力を増強させることで、中国と米国との海上覇権争いも激化するとみられる。

北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員

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