▲京畿道果川中央選挙管理委員会の様子。写真=ニュース1

 韓国全国17市・道の選挙管理委員会でこの10年間に実施したキャリア採用が全て規定違反だったことが分かった。市・道選管を監督しなければならない中央選管もキャリア採用をする際に自ら規定を破っていたが「われわれは憲法機関だから法令を守らなくてもいい」として、違法採用や方便を使った採用を助長してきたことが明らかになった。中央選管と市・道の選管が291回のキャリア採用で規定に違反したケースは878件に達する。

【グラフィック】韓国選管のさまざまな採用不正

 こうした中、選管内では幹部の子女や親族の縁故採用が相次いで行われていた。調査によると、中央・地域選管の人事担当者たちは「選管はファミリー企業だ」と言い、縁故採用疑惑が浮上しても「選挙さえうまくいけばいい」と無視してきたという。縁故採用に関与して摘発されたある職員は、監査院の調査に「以前、選管がキャリア採用をする時、信頼できる人を選ぶために親族を採用する伝統があった」と述べた。

 監査院は27日、こうした内容の「選管採用など人材管理実態」監査報告書を公表し、選管に対して元職員・現職員32人の懲戒処分など不利益措置を取るよう要求した。

■選管トップらが率先して「うちの子を採用して」

 監査報告書によると、選管では複数の最高位職者が率先して子女の採用を請託していたという。中央選管は2019年、仁川選管に人材募集する必要がないのにもかかわらずキャリア採用を行わせ、採用には当時中央選管事務次長だったキム・セファン元中央選管事務総長の息子が応募した。仁川選管は面接担当者を全員、キム・セファン元事務総長と同じ選管に勤めたことがある人々で構成し、その息子を江華郡選管に合格させた。息子は選管で働くことになった後、1年で上級機関である仁川選管に勤務地を移し、官舎を無料で提供してもらえるなどの特別待遇を受けた。この職員は選管内で「世子(世継ぎ)」と呼ばれたという。キム・セファン元事務総長は担当者に「(息子のために官舎を)一つ何とかしてくれ」と言っていたことが調査で分かった。

 キム・セファン元事務総長の後任であるパク・チャンジン元事務総長の娘の採用には点数操作の手法が動員された。2022年にパク・チャンジン元事務総長の娘が全羅南道選管採用に志願すると、人事担当者は面接担当者らに点数表の点数欄を空けておき、ここにパク・チャンジン元事務総長の娘などあらかじめ決まっていた人々が合格するよう点数を書き入れた。ソン・ボンソプ元事務次長は18年、忠清北道選管の人事担当者に電話し、忠清南道保寧市庁の公務員である自身の娘を推薦した。忠清北道選管と傘下の丹陽郡選管は最初から1人だけが志願でき、競争なしで合格かどうかを決める「非多数人競争採用」計画を立て、ソン・ボンソプ元事務次長の娘を選んだ。

■市・道選管採用で不正黙認・隠蔽(いんぺい)

 中央選管は2022年に大統領選挙と地方選挙を控えている状況で人材不足が予想されるとして、2021年7月に全国の市・道選管に大規模なキャリア採用を行うよう通達した。そうした中、中央選管の人事担当者たちは一部の市・道選管の人事担当者たちから、複数の高位職者の子女が今回採用試験を受ける予定であることを伝えられた。担当者たちは縁故採用を阻むための措置を全く取らなかった。

 縁故採用の大半は、地方自治体所属の公務員として在職している、選管高位職者の子女たちが、選管のキャリア採用試験を受けて選管に移るというやり方で行われた。政府法令によると、このように地方自治体公務員を選管に入れるには、該当する地方自治体首長の同意を受けなければならない。しかし、中央選管の人事担当者はそれどころか、「選管は憲法機関だから(政府法令である)公務員任用令を守らなくてもいい」と任意に解釈し、市・道選管の人事担当者らに「地方自治体が転出に同意をしなくても無視して入れろ」という指針を伝えていた。

 地方自治体首長の転出同意制度が選管の採用不正に悪用されるケースもあった。選管の人事担当者らは志願者たちに所属地方自治体からの転出で同意を得てくるように言い、同意を得られなかった志願者についてはこれを口実に不合格とした。その一方で、合格させたい志願者に対しては、転出についての同意を得られなかったとしても、これを無視して合格させていた。

 2023年のメディア報道で選管高位職者の子女の縁故採用疑惑が浮上すると、国会は選管所属職員のうち親子関係のある職員のリストを要求した。すると、中央選管は内部的には選管高位職者の子女16人が選管で働いているというリストを持っていながら、国会対しては「資料がないので提出できない」と虚偽の回答をしていた。

金耿必(キム・ギョンピル)記者

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