裁判
李在明無罪破棄の最高裁、控訴審判決に「誤りです」「法理誤解です」「歪曲です」とダメ出しの嵐 公選法違反事件裁判
大法院(最高裁に相当)は今月1日、進歩(革新)系の「共に民主党」に所属する李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補の公職選挙法違反事件で破棄差し戻し(有罪趣旨)判決を下した。これを巡り、裁判所周辺からは「大法院が判決の各所で控訴審の誤りを指摘した」「控訴審を覆すケースは何度かあるが、ここまで叱るケースは見たことがない」という反応が出た。
【うそは許しません】2審無罪判決を覆した韓国最高裁の判断
実際、「誤り」という表現は87ページある判決文のうち、多数意見分の34ページ内に18回登場する。主に控訴審の公職選挙法の解釈が誤りだったという内容だ。
例を挙げると、李候補が故キム・ムンギ氏と海外出張中にゴルフをした疑惑について、釈明の際に「(当時の保守系与党)国民の力が集合写真の一部を切り取り、4人がゴルフをプレーしたかのように操作した」という内容の「ゴルフ発言」の場合、大法院は「検察が起訴状変更を通して、キム氏を知っていたかどうかではなく『ゴルフ同伴の交遊行為』と虚偽事実公表を適示したにもかかわらず、控訴審が看過して公訴事実全体を取り違えた誤りがある」と述べた。
特定の人物を知っているかどうかは「認識」に関することなので、「行為」に関するうそとして処罰はできない。逆に、特定の人物とゴルフをしなかったというのは、行為に関する内容だ。大法院の指摘は、控訴審が検察の起訴状変更を看過し、「当該発言に独自の意味はなく、虚偽発言ではない」と誤った判断をした、と言っているのだ。
大法院は、「ペクヒョン洞発言」関連でも控訴審が発言の意味を誤って解釈した、と指摘した。「国土交通部(省に相当)が『用途を変更しなければ職務遺棄で問題にする』と言った」という「国土部脅迫」発言は、用途変更の対象からペクヒョン洞の敷地が排除されるわけではなく、ペクヒョン洞の敷地まで含まれる説明にもかかわらず、控訴審は「ペクヒョン洞の敷地用途変更とは関連がない発言」だと誤って解釈した-というわけだ。
「法理誤解」も8回登場することが判明した。「法理誤解」とは、法令の解釈を誤ったり適用を誤ったりするケースで、刑事訴訟法が定める上告事由に該当する。
大法院は「ゴルフ発言」について「公職選挙法の虚偽事実公表罪において『表現の解釈』に関する法理を誤解する等の誤りがある」と指摘した。
さらに、ペクヒョン洞の部分では「虚偽事実公表罪での『表現の解釈』に関する法理を誤解する等の誤りがある」「『事実と意見の区別』に関する法理を誤解する等の誤りがある」「公表の客体である『行為』に関する法理を誤解する等の誤りがある」と述べた。
控訴審が要約した李候補の発言の要旨、事実適示ではない意見表明だとみなした部分、「脅迫」が国土交通部の行為であって李候補の行為ではないとみなした部分が、いずれも誤りだったというわけだ。
■ペクヒョン洞発言に関する控訴審の判断を「歪曲」と批判
ペクヒョン洞発言に関しては「歪曲(わいきょく)」という表現も2回登場した。大法院は「原審(控訴審)は被告人(李候補)が具体的に言及した『国土部の革新都市法義務条項による圧迫』『義務条項に従わなければ職務遺棄を問題にするという脅迫』を度外視したまま、『国土部の法律による要求』と、発言の意味を歪曲して解釈した」と指摘した。
すなわち、ペクヒョン洞の敷地に関する大幅な変更を巡って特別待遇疑惑が持たれていた李候補(当時は京畿道知事)が、2021年10月の国政監査で自ら釈明した内容は、上記のように(1) 国土交通部から革新都市法上の義務条項に従って用途変更をしなければならないという圧迫があった(2) 義務条項に従わなければ職務遺棄を問題にするという脅迫があった-というものに整理されるが、控訴審はそうせずに「国土部の法律による要求に従って用途を変更した」と、発言の意味を歪曲したのだ。
その上で控訴審は、当該発言を虚偽とは断定できないとしたが、大法院は、こうした解釈の方法は自然に連結された発言の意味を一般選挙人が通常において理解する方式ではない、と批判した。
ある法曹関係者は「大法院が『歪曲』という表現まで使うというのは、控訴審の解釈について、単なる誤りや一審との見解の違いにとどまらず、無罪判決を与えようという意図に基づいたとみているようだ」とし、「『誤り』や『法理誤解』とは次元が違う。控訴審裁判部は深刻に受け止めるべき部分」と語った。
判決文には「分節」も7回登場する。これは、控訴審がペクヒョン洞発言を5つの部分に切って「国土部の脅迫」の部分をペクヒョン洞ではない別の敷地に関するものと解釈したやり方に関連している。
大法院は「一つの答弁で連結された発言内容を、事後的に細分化したり人為的に分節したりする方法で再構成し、発言の意味を解釈するのは妥当ではない」「事後に人為的に分節した後、各区間の個々の発言を合致させたり再び組み合わせたりして、連結された発言の意味を解することは、『一体として自然に連結された発言の意味』を一般選挙人が通常において理解する方式とはいえない」と指摘した。
判事出身のある弁護士は「控訴審判決が、発言の趣旨を全体的な流れで見るべきだという常識から外れていることを、大法院がさまざまな角度から指摘した」と語った。
梁銀京(ヤン・ウンギョン)記者