▲曺喜大・大法院長/写真=チャン・リョンソン記者

 進歩(革新)系の「共に民主党」の初当選議員らが曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長(最高裁長官に相当)に対する特別検察官設置法案を発議した。大法院(最高裁に相当)が李在明(イ・ジェミョン)候補の選挙法違反事件を有罪の趣旨で破棄差し戻ししたのは大統領選挙に介入しようとした疑いがある、というのだ。曺喜大大法院長が非常戒厳当時、内乱に加担した、という疑惑も特別検察官設置法案の捜査対象だという。派遣検事20人に捜査期間120日というのは2016年の「崔順実(チェ・スンシル)特別検察官設置法案」並みの規模だ。自分たちに不利な判決を下したという理由で政界が大法院長を相手に特別検察官設置法案を発議するというのは、これが初めてだ。想像すらできなかったことだから、当然これが初めてになる。民主党は「党指導部の立場ではない」とコメントしたが、民主党所属の鄭清来(チョン・チョンレ)国会法制司法委員長は13日、「特別検察官設置法、裁判所組織法、憲法裁判所法を一緒に処理したい」と述べた。

 法司委員長が処理を公言した諸法案は、いずれも大法院に対する報復という性格を帯びた法案だ。特別検察官設置法案は曺大法院長を直接狙ったもので、裁判所組織法改正案は大法官(最高裁裁判官に相当)の数を増やすという内容。憲法裁判所法改正案は、大法院の判決も憲法訴願の審判対象に含めるものだ。14日には、曺大法院長をはじめとする大法官の不出席通知にもかかわらず、曺喜大大法院長の聴聞会を開くという立場を取っている。政治権力が司法府、それも大法院長を直接狙ってこのように総攻撃に出たことはない。司法府脅迫に続いて、民主党は李候補に関する虚偽事実流布罪を無力化し、大統領になったら刑事裁判を中止する法案まで推し進めている。

 大法院は、民主党の聴聞会出席要求に対して不出席の立場を表明した。しかし民主党の露骨な司法府脅迫の後、裁判所は15日に予定されていた選挙法破棄差し戻し審をはじめ大庄洞事件裁判と偽証教唆事件控訴審の裁判も、全て大統領選挙の後に延期した。一部の判事は今月26日、裁判官代表会議を開いて、大法院の破棄差し戻し審が迅速に進んだのは問題だとしてこれを批判するといわれている。1年以内に終えるように法に定めてある選挙法事件を2年6カ月も遅延させたときは沈黙していた判事たちが、大法院の迅速判決は「政治中立違反」だと言い出しているのだ。民主党と一部の政治判事が、何らかの役割分担でもしているかのように、曺喜大大法院への揺さぶりで歩調を合わせている。

 民主党は大法院長に辞任を要求をしつつ、大統領選介入疑惑の究明という名目で聴聞会、特別検察官、国政調査、弾劾などあらゆる手段を動員し、2027年6月まで任期が保障された曺大法院長を中途で辞任させようとしている。立法権力に続いて大統領権力に近づいた政治勢力が、司法府まで足元に置こうとしている。

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