▲イラスト=チェ・ジョンジン

 米ホワイトハウスは李在明(イ・ジェミョン)大統領当選についてメディアに対し「韓米同盟は強固だ。韓国は自由で公正な選挙を行ったが、米国は全世界の民主主義国家に対する中国の介入と影響を今も懸念しており、反対する」とコメントした。同盟国の大統領選挙への論評で第三国である中国に言及するのは非常に異例であり、韓国関連では今回が初めてだ。韓国の新政権に対し「中国側につくな」というメッセージを送ったようにも見える。外交慣例をたびたび無視するトランプ大統領のやり方と同じであり、今回もその本心を隠さなかったようだ。

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 李在明大統領は就任演説で「強固な韓米同盟を基盤とする韓米日協力」に言及した。しかし米国は中国の覇権阻止、中国による台湾侵攻阻止を外交安全保障政策の最優先課題としているため、李在明大統領の「中国にもシエシエ(謝謝=ありがとう)、台湾にもシエシエ」といった過去の発言を快く思っていないはずだ。トランプ大統領との電話会談や直接会談などを通じ、首脳間の信頼関係を積み上げていくことが今後何よりも重要になるだろう。

 15-17日にカナダで開催されるG7(先進7カ国)首脳会議、さらに24-25日にオランダで開催予定のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議にはいずれもトランプ大統領も出席する予定だが、これらの席で李在明大統領とトランプ大統領が実際に会う方向で前向きに検討すべきだろう。特にNATO首脳会議は加盟国の防衛費増額が議論される見通しで、李在明大統領にとってはかなりの負担になるかもしれない。しかし避けるのではなくあえて出席することで韓国の首脳外交再開を伝えるチャンスとしてほしいものだ。

 李在明大統領にとっては米国との間で解決すべき問題がすでに山積している。今年春にトランプ大統領は一律10%の基本関税に加え、自動車や自動車部品には25%の関税を課し、韓国の対米輸出はすでに大きな打撃を受けている。トランプ大統領は関税をさらに引き上げる考えも示している。国ごとの関税猶予期間も1カ月しか残されていない。何とかして解決策を見いださねばならない。

 米国で何度も議論される在韓米軍の役割見直しと削減の可能性についてもトランプ大統領と直接会って率直に話し合うべきだ。米国と協力すべきは協力する一方で、韓国が持つ懸念や超えてはならない一線も明確に伝えねばならない。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)は李在明大統領について「1997年のアジア通貨危機直後に就任した金大中(キム・デジュン)大統領以来、最も険しい挑戦と課題に直面している」との見方を伝えた。米国の関税政策、中国向けの輸出制限、北朝鮮とロシアの関係強化、ウクライナ戦争やガザ地区での戦闘など、韓国にとって不利な要因があふれかえっているからだ。行くべき道はあまりに遠く険しい。

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