▲李在明大統領が9日、ソウル市竜山区の大統領室庁舎で開かれた非常経済点検タスクフォース(作業部会)の2回目の会議で考え込んでいる様子。/写真=大統領室

 李在明(イ・ジェミョン)大統領の選挙法違反事件破棄差し戻し審を担当するソウル高裁裁判部が、18日に予定されていた裁判を事実上無期延期した。高裁は「憲法84条に基づく措置」とコメントした。韓国憲法84条は、内乱などを除いて大統領は在職中に刑事上の訴追を受けない、と定めているが、進行中の刑事裁判がここに含まれるかどうかは論争になっていた。しかし裁判所の今回の裁判延期は、大統領の不訴追特権に「進行中の裁判」が含まれる、と見たのだ。この事件は、5月に大法院が有罪の趣旨で高裁に差し戻したものなので、裁判を進めたら有罪宣告がなされただろう。

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 今回の決定で、選挙法違反事件のほかにも大庄洞、違法対北送金、偽証教唆、公用カード流用など李大統領の残り四つの裁判も全て延期される可能性が高まった。事実上、大統領在任中は5件の裁判が全て中断されるのだ。

 李大統領に関する刑事裁判のほとんどは事案が重大で、有罪かどうかが大統領の法的地位に関連している。ソウル高裁の裁判延期は、法的判断というよりは、選挙で当選した大統領の地位を中途で剥奪対する混乱まで考慮した、政治的判断に近い。司法府が厳密な法的判断よりも政治を考えている、という批判が出る理由もここにある。

 民主党はこれまで、李大統領の裁判を中止させたり、無罪にさせたりするために無理な立法を試みてきた。大統領に当選したら裁判を中止する刑事訴訟法改正案や、李大統領の事件に関連する条項を無くして免訴判決を受けられるようにと選挙法の改正も推進した。まともな民主国家で特定人の無罪をつくり出すためにこうした法案を推進した先例は、見いだし難い。

 今回の裁判無期延期を契機として、民主党は関連法案を撤回すべきだ。選挙法事件の破棄差し戻しに対する報復として推進されている曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長(最高裁長官に相当)への特別検察官法案も撤回し、大法官(最高裁裁判官に相当)増員法案も国民的同意の中で手続きを踏まえて進めるべきだ。軍事作戦のように処理すべき事案ではない。

 しかし民主党は、大統領を無罪にする法案を引き続き推進するつもりだという。裁判所を信用できないから、法律そのものを改正して駄目押ししようというのだ。大統領選挙の出口調査で、韓国国民の64%は「李大統領の裁判は継続すべき」と回答した。李大統領に投票した人も、半数はこうした考えだった。それにもかかわらず司法府が裁判を無期延期したのだとしたら、民主党も常識外れの暴走をやめなければならない。このような法ともいえない法を実際に通過させたら、いつまでも民主党の汚点として残るだろう。

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