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有名女優の弟が中国のスパイ? 軍事機密流出騒動で実刑…台湾社会に衝撃
台湾の軍事情報を中国に流出させようとしたスパイグループが実刑を言い渡された事件で、被告に有名芸能人の弟が含まれていたことが論議を呼んでいる。
台湾・中央通信などによると、差し戻し一審の台北地方法院(地裁)は同日、国家安全法違反の罪で起訴された元ディアボロ(中国ゴマ)競技コーチの魯紀賢被告に禁錮10年6月を言い渡した。
【写真】台湾の有名女優で歌手の郭書瑤さん
中国ゴマ競技団体の理事だった魯被告は2020年、公演のために訪中した際、情報要員として中国側に取り込まれ、中国籍の妻名義で約570万台湾元(約2850万円)の資金を受け取った。
魯被告は台北市内の借家を拠点とし、現役または退役した軍人を集めて軍事情報を収集し、それを中国に提供することを計画したとして摘発された。
一緒に起訴された共犯3人にも実刑判決が出た。うち1人は台湾の有名女優で歌手の郭書瑤さん(34)の実弟、郭伯廷被告で、詐欺容疑で口座が凍結された魯被告に代わり、資金を受け取ってスパイ組織を構築するのに関与。禁錮3年10月を言い渡された。
有名女優の弟がスパイ事件に関与していたことは台湾社会に大きな衝撃を与えた。郭書瑤さんはドラマや芸能番組の司会、広告などで活躍してきた。2010年には韓国のガールズグループKARAの「Honey」をリメイクして歌い人気を集めた。
郭書瑤さんは弟のスパイ事件について、「ニュースを見て知った」と語った。弟が実刑判決を受けた後には、「全て当局に任せる」と短くコメントした。
最近、台湾では軍や政界を問わず、中国によるスパイ事件が相次いで起きている。2023年には中国の資金を受け取って戦争時の投降を誓約した陸軍将校に禁錮7年6月の判決が言い渡された。また、中国軍の台湾侵攻を支援しようとした退役軍人グループも禁錮3年6月から10年の判決を受けた。
政界でも与野党を問わずスパイ容疑の摘発が相次いでいる。台湾検察当局は与党・民進党の元関係者、中国国民党の台北市議員秘書らをスパイ行為の疑いで捜査している。
チョン・アイム記者