社説
世間で知られている姿とは異なる次期保健相候補・鄭銀敬【7月9日付社説】
鄭銀敬(チョン・ウンギョン)保健福祉長官候補者の配偶者を巡る資産関連疑惑が相次いでいる。同候補者の配偶者は仁川市内で働く医師だが、江原道平昌郡に約5000平方メートルの農地を所有している。農地は原則的に所有者自身が農作業をしなければ所有できないように法律で定められている。ところが、この土地に支給されている農業助成金は別の人物が受け取ったことになっているという。助成金を受け取ることができるのは、農地を実際に耕作する所有者や賃借人だけだ。この土地は、書類上は他人に貸し出された形跡がない。それならば鄭銀敬候補者の配偶者が助成金を受け取るはずだ。このため、違法小作の疑いが浮上している。同候補者がこうしたことを知らなかったわけがない。もちろん農地所有や助成金の受給過程で行政上のミスなどがあった可能性もある。正当な理由があれば釈明すればいい。しかし、これまで何の釈明もしないでいる。
鄭銀敬候補者が疾病管理本部長を務めていた時、配偶者が「新型コロナウイルス恩恵株」とされる手指消毒薬関連株を買っていたことも明らかになった。これは公職者の利害衝突に当たる。これらの株の一部は今でも保有中だそうだ。国民の生命と安全が問題になっている時に疾病管理本部長夫妻が金もうけをしていたとは、ひどく裏切られた気持ちになるだけでなく、同候補者のイメージとも相反するものだ。これに対しても同候補者は「聴聞会で説明する」と釈明を先送りしている。
新政権の保健福祉長官は、(医学部定員増問題をはじめとする)医療界との対立や国民年金改革など、国民の生命と国の将来に直結した国家的課題の責任を負わなければならない。個人を巡る疑惑は一日も早く釈明し、政策に専念することが望ましい。鄭銀敬候補者の聴聞会は今月18日に予定されている。1週間以上もこの状態のままで行くつもりなのだろうか。同候補者の言葉通り、錯誤による疑惑が多く、すべてが釈明可能なら、あえて聴聞会まで待つ必要はない。一日も早く国民の疑問を解消するのが公職候補者の道理でもある。与党・共に民主党が予告した「一人の落馬もない内閣構成」を信じて粘ってみようということなら、公職者としての資格はない。