▲17日、光州広域市に降った豪雨で、北区庁前の道路が浸水した。写真は水に流されないように橋の欄干につかまり、救助を求める人。光州市内には同日だけで午後10時までに412.7ミリメートルの雨が降った。写真=NEWSIS

 韓国の記録的な豪雨で多くの被害が発生したが、しゅんせつと堤防補強が行われた4大河川(漢江・洛東江・錦江・栄山江)本流周辺は被害がほとんどなかったという。その反面、4大河川開発事業の過程で論争となり、まだ整備されていない支流では氾濫が発生したり、氾濫の恐れが高まったりしている状況だ。錦江の支流である唐津川・島堂川などは氾濫し、洛東江の支流である慶尚北道慶山市の烏木川には洪水注意報が発令された。主要4大河川事業の洪水防止効果があらためて確認されたということだ。昨年から河川のしゅんせつなど災害予防工事を行っていた大田市も、今回の豪雨では大きな被害がなかったという。

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 ところが、李在明(イ・ジェミョン)政権は「4大河川再自然化の強力推進」を大統領選挙の公約として掲げた。「再自然化」とは、一言で言えば4大河川の施設を事実上なくすか、無力化するということだ。とんでもないことだというのは新政権もよく分かっているはずだ。大統領選挙の公約は錦江・栄山江の堰(せき)を解体し、洛東江など4大河川堰を全面開放するというものだった。川底のしゅんせつと堤防整備、堰建設で洪水に備え、莫大な水資源を確保し、干ばつに備える4大河川事業を事実上破棄するということだが、災害に対して国を無防備にするそのような荒唐無稽(むけい)な事態は起きるはずもないし、起きてもならない。

 韓国は雨が一度にたくさん降り、干ばつも多い。100年に一度程度だった「1時間当たり100ミリメートル以上」の集中豪雨が、近年は毎年続いている状況だ。気候変動により、今後どのような激しい豪雨や干ばつが訪れるか分からない。国のあちこちに水をためることができる「水の器」を作っておかないと、いつどこでどんな被害が発生するかも分からない。

 韓国は2002年の台風15号で213人が犠牲になり、約5兆ウォン(現在のレートで約5350億円)の経済的被害を受けたが、主要4大河川事業以降は、そのような大規模な洪水被害に遭っていない。国土の25%が海水面より低く、洪水被害が多いオランダでは韓国の4大河川事業とほぼ同じ時期に川底のしゅんせつや堤防補強などの事業を行い、豪雨による2021年ヨーロッパ洪水時に人命被害が出なかった。

 李大統領は今回の全国的な豪雨について、「国の第一の責務は国民の生命と安全を守ることだ」と述べた。至極当然の言葉だ。そう言いながらも4大河川の自然化を推進し、国民の生命と安全を脅かすなら、大きな災いを招くだろう。

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