▲7月27日、ソウル市鍾路区の普信閣前で韓国に住んでいるカンボジア人が最近、国境紛争があったタイを糾弾する集会を開いている。一部の参加者は韓国語で「タイが先に攻撃しました」と書かれたプラカードと太極旗を振りかざしている。/キム・ジホ記者

 「タイは罪のないカンボジアを先に攻撃した」「侵略を直ちに中止せよ!」

 7月27日午前、ソウル市鍾路区の普信閣前には500人を超えるカンボジア人が所狭しと集まっていた。彼らは青、白、赤で彩られたカンボジアの国旗と共に「タイ軍を糾弾する」「侵略をやめよ」と書かれたプラカードを掲げながらデモを行った。ところが、プラカードの文句がカンボジア語ではなくハングルだった。国境紛争で両国が武力衝突する状況を韓国社会に知らせるために街頭に繰り出してきたのだ。

【表】ソウル都心で相次ぐ外国人主導のデモ

 同日午後2時、鍾路から約2キロ離れた恵化駅3番出口の前では、約300人のフィリピン人が集会を開いていた。彼らはフィリピンの国旗と元大統領のロドリゴ・ドゥテルテ氏の肖像画を手に、慣れない韓国語で「ドゥテルテを釈放せよ」というスローガンを叫んでいた。同様に「聴衆」は韓国人だった。デモ隊の一人は記者に対し「めちゃくちゃにされたフィリピンの状況を韓国人に知ってもらいたい」と声を荒らげた。

 ソウル都心が韓国に居住する外国人の「国際デモ舞台」と化している。多国籍企業や国際機関などが密集しているソウル市が急速な国際化を遂げ、外国人が自国の問題を世界にアピールする公論の場として位置付けられている。昨年、韓国に滞在した外国人の数は約265万人で、韓国人の人口の5.2%にまで上っている。ここ10年間で1.5倍となったが、日本(3%)と比べても倍近い割合だ。

 日本の都市開発調査機関である森記念財団が毎年、グローバル都市の競争力を評価する都市総合力ランキング(GPCI)で、ソウルは昨年基準で堂々の世界6位に輝いた。全北大学社会学科のソル・ドンフン教授は「世界が注目するソウルは各国に情報を拡散していく主要ハブと化している」とし「特に、表現の自由が与えられてこなかった国家からやって来た外国人にとって、発言できる窓口となっている」と話した。

 先月20日、ソウル市竜山区の戦争記念館前では、ミャンマー軍部を糾弾するデモが行われた。約600人のミャンマー人はソウル駅と市庁を経て鐘閣まで約4.5キロを行進し「軍部は退け、主権は国民に」などのスローガンを韓国語で叫んだ。同時刻、市庁前のソウル広場では、気功集団・法輪功の学習者(修練生)1200人余りが黄色いTシャツを着て、中国共産党による法輪功迫害の中止を促すデモを行った。彼らの約3分の1が中国人だった。中国人のファン・シャオミンさん(55)は「表現の統制が強い中国では、このようなデモは想像すらできない。韓国でも母国のために声を上げたかった」と話す。

 一部の市民は携帯電話を取り出して写真を撮ったりもした。米国から旅行に来たジョン・オリバーさん(37)は「すでにソウルはパリやロンドンに劣らない国際都市」と話した。

 ソウル都心で開かれる外国人デモは主に週末に集中している。首都圏郊外や地方に居住する外国人が週末になるとソウルに上京するからだ。「ドゥテルテ釈放」デモに参加したフィリピン人のグウェン・ガルシアさん(31)は京畿道東豆川市のある工場で働く。ガルシアさんは「ソウルで私たちが声を上げれば国際社会はすぐに耳を傾けると思う」と希望を抱く。忠清北道清州市の製造工場で働くカンボジア人のホン・カウさん(33)も同日、バスに乗ってソウルに上京し、デモに参加した。

 一部では、他国間で浮き彫りになった紛争に韓国が巻き込まれるのではないかと懸念する声も上がっている。今年6月、イスラエル大使館近くで韓国に滞在中のイラン人とパレスチナ支持者が中東紛争と米国の軍事行動を批判するデモを行い、警察が大使館周辺の警戒を強化した。また、2月にはロシア大使館前でロシア人とウクライナ支持者が「対抗集会」を開き、緊張感が漂った。高麗大学社会学科のユン・インジン教授は「多文化共存と社会統合を成し遂げることができる議論や政策、立法が並行されなければならない」と説明した。

コ・ユチャン記者

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