▲27日夜、京畿道義王市のソウル拘置所を出る韓悳洙(ハン・ドクス)前首相。写真=聯合ニュース

 韓悳洙(ハン・ドクス)前首相に対する拘束令状が棄却された。ソウル中央地裁の鄭宰旭(チョン・ジェウク)令状担当部長判事は27日、内乱首謀ほう助などの容疑が持たれている韓悳洙前首相への令状請求に対し「重要な事実関係および被疑者の一連の行跡に対する法的評価に関連して争う余地がある」として棄却した。鄭宰旭部長判事は「本件容疑に関して、現在まで確保されている証拠や捜査進行経過、被疑者の現在の地位などに照らし、防御権行使の次元を超えた証拠隠滅の懸念があるとは見なし難い」と述べた。

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 韓悳洙前首相に対する拘束審査は同日午後1時30分から3時間25分間続いた。事件の重大性に比べて審査時間が短かったため、「早く結論が出るのではないか」という見方が出たが、実際の棄却決定も同日夜10時ごろという比較的早い時間になされた。他の政治的事件に比べて令状棄却の判断が迅速に行われたということだ。韓悳洙前首相に対する令状が棄却されたことで、昨年12月3日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が非常戒厳を宣布した時、国務会議(閣議)に出席した相当数の国務委員(閣僚)を内乱ほう助容疑で捜査しようとした特別検察官(特検)の方針に待ったがかかる見通しだ。

 「戒厳に対する責任を韓悳洙前首相に問うことができるのか」という疑問は当初から提起されていた。韓悳洙前首相をはじめとするほとんどの閣議出席者たちは非常戒厳宣布を事前に全く知らない状態で尹前大統領の方針を知らされた。「大統領にどれほど強く反対意見を表明したのかによって道義的責任を問うことができたとしても、法的責任を問うのは難しい」というのが法曹関係者の判断だった。

 それにもかかわらず、韓悳洙前首相に対する令状請求は、特検が捜査に着手する前から既成事実のように受け止められていた。与党・共に民主党は早くから韓悳洙前首相に対して「内乱の主な従事者」というレッテルを貼り、特検捜査もこのような政治的圧力にある程度影響を受けたものとみられる。

 尹前大統領の後を引き継いで大統領職務代行を務めた韓悳洙前首相まで法の審判台に立たされたことについて、国際社会も注目していた。今回の韓米首脳会談を前に、トランプ米大統領が交流サイト(SNS)に「韓国では今、何が起きているんだ? まるで粛清か革命のようだ」と投稿したのも、尹前大統領や韓悳洙前首相など前政権の人物に対する特検捜査と裁判を念頭に置いたものではないかという声が出ている。今回の令状棄却決定を、特検捜査が「政治のかせ」を外して自由になり、法的判断に基づいて行われるきっかけにしなければならない。

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