▲写真=UTOIMAGE

 歩き方を矯正するだけで、鎮痛剤を服用するのと同じくらい関節症によるひざの痛みをやわらげることができるという研究結果が出た。歩くときの足の角度などを正しくすると、関節軟骨の退化スピードも遅らせることができることが分かった。

 米国ニューヨーク大学、ユタ大学、スタンフォード大学の共同研究チームは、関節症と歩行姿勢の関連を調べた臨床試験の結果を14日、医学ジャーナル「Lancet Rheumatology」を通じて発表した。研究は、ひざ関節症の患者68人(平均年齢64.4歳)を対象に行われた。歩行時に足を置く角度を変えることが関節に加わる荷重を減らし、関節症の治療に役立つのかどうか、無作為に比較する方法で実施された。

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 研究チームは、患者たちがランニングマシンを使用して歩く姿を分析し、ひざの内側に生じる最大荷重を計算した。そして、歩くとき足の方向を内側または外側に5度から10度矯正したとき、どうしたら最も荷重が減るのか調べた。さらに、患者たちを無作為にグループ分けした後、Aグループはひざの荷重を減らすことができる足の角度で歩くようトレーニングし、Bグループはそれまでの姿勢のまま歩かせた。そして1年後、痛みの点数およびMRI検査で変化を測定した。

 その結果、足の角度を調整したAグループの人たちは痛みの評価(0-10)が1.5点下がったが、歩き方を変えなかったBグループの人たちは約1点だけ下がった。その差は、一般医薬品の鎮痛剤を服用したのと似たレベルの効果だ。また、Aグループはひざに加わる最大荷重が4%減少し、ひざの内側の部位の軟骨退化スピードが遅くなったことが分かったが、Bグループは荷重がむしろ3%増加した。

 研究チームは「各患者の歩行パターンに合わせて足の角度を調整することが、長期的に見てひざ関節症の症状を緩和し、軟骨の損傷を遅らせることができるのを示した初の研究」とした上で「この方法は鎮痛剤に比べ相当なメリットがあるだろう」と主張した。

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