社説
江陵は深刻な干ばつ・束草では水フェスティバル 江原道内で明暗、河川管理の重要性が浮き彫りに【9月1日付社説】
深刻な干ばつで被害が続出している江原特別自治道江陵市で緊急災害事態が宣布されたことを受け、政府は干ばつの被害を最小限に抑えるため動員可能なリソースを全て投入することにした。江陵市内の梧鳳貯水池は貯水率が約14%にまで下がり、江陵市は水道供給を計量器で75%に制限するなど本格的な対応に乗り出した。現在江陵市とその周辺では当分は雨が降る見通しもなく、今後状況はさらに悪化すると予想されている。
【写真】江陵市の弘済浄水場で緊急の給水を行う消防車
江陵市から近い束草市も干ばつに見舞われるたびに数年前まではほぼ毎年給水制限が行われてきた。白頭大幹山脈から海岸線までの傾斜がきつく、どの河川も全長が短いため干ばつになるとたちまち川底が見える地形となっているからだ。ところが束草市はここ数年給水制限を行っておらず、逆に大量の水を使用する夏のフェスティバルを通常通り開催している。市内の双川に約63万トンを貯水できる地下ダムが2021年に完成したからだ。これは市民や観光客に3-4カ月ほど水を供給できる量だ。
韓国では雨が降る時は大量に降るが、その一方で乾期には干ばつが起こりやすい気候に変わりつつある。1年に2-3カ月は雨が降るが、それ以外はほぼ渇水期だ。しかも最近の気候変動で集中豪雨と干ばつ被害の規模も大きくなっている。適当な地域にダムや堤防、せきなどを建設し、川をしゅんせつして貯水量を増やすなど対策の必要性がこれまで以上に高まっている。江陵と束草の大きな違いは、韓国がいかにして極端な干ばつや豪雨などの気候変動に備え、自然への備えをすべきか明確に示している。
しかし与党・共に民主党と現政権は今も四大河川の「再自然化」を盲信している。まず環境部(省に相当)長官からして四大河川の再自然化に意欲を示している。「再自然化」とは要するに四大河川の施設を事実上撤去、あるいは無力化するもので、洪水や干ばつなどの自然災害に対して国を無防備状態にするものに他ならない。「新規のダム建設中断」も検討されている。元からあったインフラを撤去し、しかも新たなインフラを建設しないのなら、大規模な自然災害に襲われた時にどう対応するのか。このままでは国民の生命と安全にも脅威となるのは間違いない。四大河川のせきとダム建設の問題は古くさい陣営論理ではなく、現実的に考えて対策を進めるべき問題だ。