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ブランド品受け取り後に「政府レベルで統一教を助けようと努力」 金建希夫人の通話内容、特別検察官が起訴状に摘示
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の配偶者の金建希(キム・ゴンヒ)夫人が、統一教側からブランドバッグなどを受け取った後、「大韓民国政府レベルで統一教に援助をしようと努力している」という内容の電話をしたことが分かった。閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)のチームは8月29日に金夫人を起訴した際、このような内容を含め、金夫人と「コンジン法師」ことシャーマンのチョン・ソンべ氏、統一教間の癒着関係を詳細に起訴状に適示した。
【図】金建希夫人と統一教の癒着
3日に特検が国会に提出した金夫人の起訴状によると、金夫人は尹・前大統領当選直後の2022年3月30日、チョン氏の要請を受けて尹英鎬(ユン・ヨンホ)氏=元統一教世界本部長=に電話をかけた。調べによると、金夫人は「チョン顧問が電話をするよう言っていた」とし「大統領選挙を助けてくれてありがとう。これからチョン顧問と意見を交わしてほしい」と言ったという。
特検は、この電話が、尹氏がチョン氏の影響力を確認する契機になったと判断。このときから尹氏はチョン氏を通して金夫人に請託と共にブランド品のネックレスやバッグなどを贈った―と特検ではみている。尹氏は大統領就任式が迫っていた2022年4月7日、韓鶴子(ハン・ハクチャ)統一教総裁の承認を受けた後、802万ウォン(現在のレートで約85万円。以下同じ)相当のシャネル(CHANEL)のバッグと天寿参濃縮茶をチョン氏に渡し、統一教の懸案だった「国連第5事務局韓国誘致」の件を請託したことが把握された。
これを金夫人に届けたチョン氏は同月23日、金夫人に統一教と秘密裏に接触することを提案し、およそ1週間後に統一教側の請託内容を含むメッセージも金夫人に送ったことが調べによって分かった。
尹錫悦・前大統領夫妻のNATO(北大西洋条約機構)歴訪が近づいていた2022年6月26日、尹氏は2回目のギフトを贈る計画をチョン氏と話し合ったが、チョン氏が「あす(27日)出発して7月1日に戻ってくるので、その翌週に連絡しよう」と言ったことを受けて延期した。続いて7月5日、尹氏はチョン氏に1271万ウォン(約135万円)相当のシャネルのバッグと天寿参濃縮茶を渡して国連事務局誘致を再度請託し、6日後の7月11日、チョン氏に金夫人の反応を尋ねた。チョン氏は「前向きに反応した」と答えた。さらに4日後(15日)、金夫人は尹氏に電話をかけて「大韓民国政府レベルで統一教に援助をしようと努力している」と、感謝の意を伝えたという。
3回目のギフトは7月29日に届けられた。尹氏はチョン氏に、統一教の行事に教育部(省に相当)長官が出席するよう助けてほしいと頼み、6220万ウォン(約662万円)相当のグラフ(GRAFF)のネックレスを渡した。3日後、チョン氏は尹氏に「夫人は大きな贈り物だと驚いていた」「(教育部長官が出席するかどうかについては)特にお言葉はなかった」と伝えた。
特検は起訴状で、金夫人について「大統領の職務に該当する各種の国政運営に直接的・間接的に関与した人物」と適示し、チョン氏については「統一教側と共生関係を続けつつ各種の利益を得るとして金夫人と共謀した人物」とした。一方、金夫人側は「ブランド品を受け取ったことはなく、尹氏との電話は形式的なあいさつに過ぎない」という立場だ。
「ドイツ・モータース株価操作」事件について、特検は金夫人を共犯として適示した。調べによると、金夫人は2010年初めから12年1月まで2回にわたってドイツ・モータース株価操作に加担し、およそ3100回の非正常な取引で総額8億1144万ウォン(約8630万円)の利益を得たという。ただし、1回目の株価操作時の犯行は公訴時効満了により不起訴処分となった。
金夫人は、尹・前大統領と共に2022年大統領選挙の前後、政治ブローカーのミョン・テギュン氏から2億7440万ウォン(約2920万円)相当の世論調査結果58件の無償提供を受けた疑いも持たれている。特検は、世論調査結果の公表を禁じる、いわゆる「真っ暗(カムカミ)」と呼ばれる期間に金夫人がミョン氏から毎日結果を受け取っていたと判断した。
イ・ミンジュン記者