▲「上半身を脱ぐのは絶対禁止」(黄色い文字)という横断幕が掲げられた京畿道盆唐の散策路を歩く女子高校生。/チョン・サンヒョク記者

 走るのに相談(韓国語でサンイ)する必要はない。ただし、上衣(韓国語でサンイ)がなければ問題になるかもしれない。

 ランニング人口1000万人時代を迎え、休日だった8月15日の夕方も汝矣島漢江公園はランナーたちでにぎわっていた。ふと遠くを見ると筋肉質の男性が大胸筋を揺らしながら走ってくる。遠くからでもものすごい揺れがはっきり見えたのは、男性が上裸状態だったからだ。翌日の日中も、京畿道盆唐(城南市)を流れる炭川の散策路で、同じように野生的な魅力を全身でアピールする上半身裸の男性ランナーの姿が見られた。このランナーに「また」遭遇したという会社員のハンさん(41)は「最近よく見かけるおじいさんなんですが、暑いのは分かるけど、見苦しいのも事実」と話した。

【写真】上半身裸はOK? 公園を走る男性と登山中の漫画家キアン84さん

 「上裸族」が増えている。上半身を脱いだ状態で走るランナーたちだ。記録的な猛暑のせいだ。年齢・体形・職業は関係ない。上半身裸の短パン姿で登山道を走る漫画家のキアン84(本名:キム・ヒミン)さん(41)だけでなく、歌手のチョ・グォンさん(36)も8月21日、自ら「アルトン駆歩」(アルトン=力こぶ)と呼ばれる上半身裸のランニング写真をアップした。この日、ソウルの最高気温は34度だった。問題は、上裸族を巡る周囲の視線まで熱くなった(厳しくなった)という点だ。先月、炭川の散策路一帯は「上半身の脱衣は絶対禁止」と書かれた懸垂幕が10枚設置された。城南市庁の関係者は「子どもたちも多数歩いているのに見苦しい、という苦情が複数寄せられた」として「現場で『せめて薄手の服でも着てほしい』と口頭で伝えるなどの注意喚起を行っている」と説明した。

 注意喚起にとどまっているのは、法的には制止することができないからだ。この問題は憲法裁判所まで持ち込まれた。自宅前の公園で上半身裸で日光浴をしていた男性が罰金5万ウォンの支払いを命じられたが、この男性は違憲法律審判を申請して裁判が行われ、2016年に憲法裁判所は、軽犯罪処罰法上の「過多露出」について「体を過度に露出するということがどういうことなのか、判断するのは容易ではなく、隠すべき部分の意味も把握が難しい」として違憲判決を下した。その後「公共の場で公然と」「性器・尻を露出した場合」という条項を追加する法改正が行われた。つまり、上半身を露出するだけなら合法なのだ。

 これに対し、上裸族も声高に叫び始めている。「逮捕するな」というわけだ。果川市の市民は「運動公園で上半身を脱いで運動することは法的に問題にならないのに、個人の自由を侵害するような注意を受け続けている」として「その理由が苦情のせいならば、私も『どうして運動の自由を制限するのか』と苦情を出し続ける」と果川都市公社側に問題を提起した。インターネット上のランナー向けコミュニティーサイトでも、賛否両論が渦巻いている。「儒教タリバン(古臭い道徳を振りかざす人)かよ」「体自慢はプールでやりなさい」。どのような自由、誰への配慮が優先されるべきなのか。

 インスタ映えを狙った見た目、自分を誇示する本能は、TPO(時間・場所・状況)をわきまえなければ迷惑行為になりかねない。筋肉バトル番組『フィジカル100』シーズン2で準優勝したスポーツ系有名ユーチューバーのホン・ボムソクさん(39)は最近、総合格闘家のキム・ドンヒョン選手(44)らと共に、都心で「野生の呼びかけ」に応じた。Tシャツを着ずに(靴下は着用)小麦色に焼けた肌をアピールしながら、路地を駆け抜け、重い鉄アレイを両手に持って車道を歩く動画を撮影した。しかし、その場所が地域住民の生活する住宅街や車道だったことが問題となった。「迷惑行為を感知するレベルが低いのなら、注目を集めるような仕事をする資格はない」「そんなに暑いのなら家でエアコンをつけてやれよ」などの批判が殺到した。ホンさんはその後「浅はかだった」と謝罪し、動画を削除した。

 脳がオーバーヒートを起こしそうなテーマだ。しかし、上衣を脱ぐ理由が単に「暑いから」だとしたら、逆に着ていた方がいい。服を脱げば風が直接肌に当たるため、その瞬間は涼しく感じるが、長時間という観点で考えると、服(繊維)が汗の吸収・拡散・蒸発を助け、冷却効果も高くなるからだ。江北サムスン病院循環器内科のチェ・ヒョイン医師は「服を脱いで走ると心理的には快適に感じるだろうが、体の表面だけが乾き、深部体温は下がらないため『隠れ熱中症』になる恐れがある」として「紫外線による皮膚の損傷や外傷の可能性にも注意すべき」と指摘した。

チョン・サンヒョク記者

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