▲今年6月4日の大統領就任宣誓式で、李在明大統領(写真左)が曺喜大大法院長と握手をしているところ。/写真=ナム・ガンホ記者

 進歩(革新)系与党「共に民主党」が15日、曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長に辞任を要求した。鄭清来(チョン・チョンレ)代表は指導部の会議で「大法院長はそんなにすごいのか。弾劾の対象ではないか」「全国裁判官代表会議を開いて大法院長に対する辞任勧告を話し合うべき」と発言した。一部の議員は、李在明(イ・ジェミョン)大統領に対する選挙法事件破棄差し戻しの裁判を挙げて「司法取引があったのかどうか高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が捜査すべき」と主張した。大法院長が辞任しないなら捜査するというのだ。秋美愛(チュ・ミエ)国会法制司法委員長も、フェイスブックに「内乱犯勾留取り消しなどで内乱勢力を肥え太らせた」と書き込み、大法院長の辞任を要求した。

 民主党は、李大統領の事件を巡る大法院の裁判直後から大法官(最高裁判事)増員カードを切り、特別検察官が請求した韓悳洙(ハン・ドクス)前首相に対する令状が棄却されると、「内乱特別裁判部」を推進した。「司法改革」とは名ばかりで、実質は、自分たちの気に入らない判決を出したことに対する報復にほかならない。現在14人の大法官を26人に増やそうというのも、李大統領の在任中に大法院の構成を親民主党優位に変更しようとする目的がある―と法曹界では批判している。

 政権が司法府を行政府の部処(省庁)のように、自分たちの思い通りにつくり直そうとするや、12日に全国の裁判所長が会議を開いて「司法府の独立は必ず保障されるべき」とする立場を表明した。一方的な大法官増員や外部の人物が参加する裁判官評価制度に対しても懸念の声が上がった。内乱特別裁判部については「慎重なアプローチが必要」という意見が多数だったという。権力による一方的な司法制度変更に対する反対の意志を明らかにしたのだ。

 国家元首の大統領は、このように立法と司法府が衝突する際にはバランスを取らなければならない。しかし李大統領は、内乱特別裁判部について「それの何が違憲か」と言い「司法府は立法府の設定した構造の中で憲法と良心に従って判断するもの」として司法府に対する国会の優位を語った。完全に民主党側に立ったのだ。民主党の大法院長辞任要求についても、大統領室の報道官は「時代的要求があれば、任命された権力として、その理由を振り返ってみる必要がある」と述べ、論争が大きくなると「見解はない」と言い出した。

 5年の任期の政権が、立法権を武器に司法の独立を侵害しようとする試みに続いて、露骨に大法院長にまで圧力をかけている。過去の権威主義政権ですら、こんな形で大法院長を脅して辞任を要求はしなかった。独裁に抵抗したという人々の独裁的発想には驚かされるばかりだ。

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