米国の若手保守活動家で、保守系団体「ターニング・ポイントUSA」代表のチャーリー・カーク氏暗殺のニュースに記者は非常に驚いた。韓国でのカーク氏のインタビューは暗殺の5日前に行われたため、記者はカーク氏にとって最後のインタビュアーになった。身長195センチのカーク氏が記者の手を取り「いつか政治が生活を変えてくれるだろうと待つのではなく、今私の生活の中で政治を変えねばならない」と力を込めて語った姿を今も鮮明に覚えている。

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 時に挑発的だが、同時にユーモアにあふれたカーク氏の言葉は聞く人の心をつかんだ。「韓国の化粧品をいっぱい買ってまた若返りたい」と冗談を言い、ユーチューブでは「朝5時半にホテルを出て6マイル(約9.7キロ)歩いたが、何も起こらなかったので驚いた」とソウル市内の治安の良さと清潔さを称賛した。その彼が米国ユタ州の大学キャンパス内で20代の学生たちと「私が間違っていることを証明せよ」をテーマとする対話イベント中に突然銃で暗殺された。一体誰が予想しただろうか。

 紙面の都合で掲載できなかった彼の言葉の中で「人生の四つの大きな祝福」が特に印象深い。クリスチャンになったこと、政治活動を始めたこと、トランプ大統領に会ったこと、またその中でも最高の祝福と考えていることは「愛する人と家庭を持ち2人の子どもが与えられたこと」だという。夫であり父でもある彼は「必ず結婚してたくさん子どもを産みなさい。それが人生における幸福だ」と訴えた。その言葉から政治的な信念と同じくらい温かい人間味を感じた。

 インタビューでカーク氏は「5人の友人を投票所に連れていくだけで世の中は変わる」とも語った。カーク氏は単なるイデオロギーよりも日常の小さな実践の重要性に重きを置いた。韓国のあるメディアは「極右」と批判したが、カーク氏の言葉にはイデオロギーの壁を崩壊させる透徹した省察が込められていたと思う。相手が作ったルールを批判するだけの消極的な抵抗ではなく「リベラルが作った制度を拒否せず、もっと活用することを考えるべきだ」と述べた。反対陣営も耳を傾けそうな現実的なアドバイスだ。

 この若い論客はアジア最初の訪問先として韓国を選んだ。仁川自由公園を訪れ韓米同盟のシンボルであるマッカーサー将軍の銅像に花をたむけ、北朝鮮が見える非武装地帯(DMZ)も視察した。カーク氏は韓国で保守的な価値観に関心を持つ若者が増えている現状を今後研究したいと語った。短い出会いだったが、韓国に対する特別な関心と愛情が伝わってきた。

 だからこそカーク氏の死は衝撃以外の何ものでもなかった。トランプ大統領が最高の大統領勲章授与を発表するほどその影響力は大きかった。カーク氏が生きていれば岐路に立つ韓米同盟のためにどれほど大きな役割を果たしてくれたかと思うと残念でならない。生涯最後の瞬間まで若者たちと情熱を持って対話を続けたその姿は長く記憶されるだろう。故人が安らかに眠ることを心から祈りたい。

安重顕(アン・ジュンヒョン)記者

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