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明洞の客足、中国人ビザ免除後も変化なし…韓国旅行業界は肩透かし【ルポ】
中国人の団体観光客が、9月29日からビザなしで韓国に入国できるようになった。韓国政府は、今回のビザなし政策によって中国人観光客がこれまでより100万人以上増えると期待を寄せていた。
【写真】閑散とする明洞の繁華街
ところが、中国人観光客に人気のあるソウル・明洞の関係者たちは、さほど期待をしていなかった。明洞で会った中国人観光客も皆、ビザを取得して韓国に入国した個人観光客だった。
■20代の中国人女性観光客「ビザの申請は難しくない」
韓国法務部(省に相当、以下同じ)によると、中国人観光客は来年6月30日までの9カ月間、韓国にはビザなしで入国が可能で、最長で15日間、韓国全土を旅行することができる。昨年12月26日、大統領権限代行だった韓悳洙(ハン・ドクス)首相(当時)が主宰した「第9回国家観光戦略会議」で、中国人団体観光客のビザなし入国の試験導入が検討され、それから9カ月を経て導入された。
ところが、9月30日に記者が明洞で中国人観光客10人に聞いたところ、全員がビザを取得した上で韓国に入国していた。中国人の20代女性観光客Aさんは「ビザなし観光が可能だという話はテレビのニュースで見た」と言いながらも「ビザを申請することに慣れているし、取得するのがさほど大変ではないので、ビザを取得した」と話した。
これは中国人にとっての「ビザなし入国」が、韓国人が海外旅行に行くときとは異なるからだ。韓国文化体育観光部や中国にある韓国の公館(大使館や領事館)が許可する「中国団体観光客の無査証(ビザなし)専門旅行会社」を通さなければならないのだ。専門の旅行会社は、3人以上の客を集めた上で中国人団体観光客リストを韓国法務部に提出し、法務部は過去の不法滞在歴などを確認した上で旅行会社にビザなし入国の可否を通知する。
明洞の繁華街の関係者たちは、ビザなし入国によって中国人観光客が増えるかどうかの質問に、首を横に振った。フェイスパック販売店の店員、キムさん(38)は「中国人観光客は昨日もいなかったし、今日もいない。明洞の方には来ていないのかもしれない」と話した。化粧品店の店員、キムさん(43)は「中国人観光客は通常より5%ほど増えていて、(ビザなし入国施行前の)先週から増え始めた。(中国の国慶節)連休期間なので増える可能性もある」と話した。
■クルーズ船から中国人観光客1700人下船も…クルーズ客は今年初めから「ビザ免除」だった
ホテルもさほど事情は変わらない。コートヤード・バイ・マリオット・ホテルは、中国版インスタグラム「小紅書(RED)」で活動するインフルエンサーたちを招待するなど、ビザなし入国の観光客を取り込むためのPR活動を展開した。しかし、同ホテルの関係者は電話取材に対し「中国人の団体観光客は、現段階では体感的にはそんなに増えてはいない」と話した。あるインバウンド向け旅行会社の関係者は「中国人観光客の入国はまだ増えていない」と話した。
中国人団体観光客のビザなし入国が始まった9月29日、仁川港にはクルーズ船「ドリーム号」が入港し、乗船していた中国人観光客1700人が一斉に韓国に入国した。しかし、ある旅行会社の関係者は「クルーズ船の観光客は今回のビザなし政策の対象ではない」と話した。
韓国政府は今年から試験事業として、クルーズ船会社が募集した団体観光客には最長3日間のビザなし入国を認めている。韓国保守系野党「国民の力」の朱晋佑(チュ・ジンウ)議員(釜山・海雲台甲選挙区)が法務部に建議して導入された。
■中国人観光客も個人旅行にシフト…「ビザ免除でも団体ツアーに参加するのは嫌」
このように、中国人がビザ免除という優遇措置にさほど関心を示していないのは、希望の観光スタイルが団体のパッケージツアーではなく個人での観光にシフトしたからだ。パッケージツアー商品を利用した場合、団体でバスに乗り、ツアーコンダクターの後について主な観光名所を見学し、食事も決められた飲食店で食べなければならない。
しかし、個人旅行で来れば、ソウルの聖水洞や漢南洞、弘大前にあるオシャレなカフェなど、SNS(交流サイト)で人気のホットな場所を訪れることができる。ショッピングやエステなど個別観光にも有利だ。明洞で出会った20代の中国人女性観光客Bさんは「ビザなしで入国するためにはパッケージツアーに参加しなければならない。それは嫌だ」と話した。
これまで済州島を除き、中国人観光客は韓国に入国する際にはビザを取得しなければならなかったが、およそ8割は済州島ではなく別の地域を訪れている。韓国を訪れる外国人観光客のうち、1位は中国人だ。今年1-8月には318万人が韓国を訪れた。昨年に比べ17.3%増えており、外国人観光客全体の増加率(16.0%)よりも高い。
仁川研究院によると、2023年基準で韓国を訪問した中国人のうち95%が個人の旅行客で、団体観光客は4.7%にすぎなかった。航空券とホテルだけがついたパック商品を利用した人は0.3%だ。仁川研究院は、訪韓観光をけん引しているのは中国の20-30代で、観光トレンドが変化してきていることと関連があると分析した。
ユ・ビョンフン記者、イ・ホジュン記者