▲カンボジア・プノンペンの韓国大使館前で記者会見に臨んだ韓国与党・共に民主党の金炳周(キム・ビョンジュ)議員。金炳周議員はカンボジアにいた韓国人3人を救出した経緯などについて説明した。/パク・ソンウォン記者

 韓国与党・共に民主党の金炳周(キム・ビョンジュ)議員が、カンボジアで拉致・監禁された韓国人の若者3人を「救出した」と発表した。これについてカンボジアで事業を行う韓国人A氏は「政治家のショーは現地の韓国人社会を2回殺すようなものだ」「カンボジアでの救助について何も知らず『英雄物語』をでっち上げてはならない」と強く批判した。

【写真】「救出された若者」の両腕に大きなタトゥー 現地で逮捕された被疑者だった

 金炳周議員は18日、自らのフェイスブックに「カンボジアで監禁されていた若者3人をついに故国に連れて帰る」「スパイ映画を撮影する心境で救出作戦を展開した」とした上で「李在明(イ・ジェミョン)政権の強い意志が若者救出の原動力になった」と投稿した。

 これに対してA氏はSNS(交流サイト)に長文を投稿し、金炳周議員が発表した内容に細かく反論した。A氏は「金炳周議員は現地在住韓国人の集会に出席もせず、SNSには自分が救助作戦を率いたような『英雄物語』を投稿し、現地在住韓国人の心をさらに傷つけた」と主張した。

 金炳周議員が公開した写真の人物についてA氏は「被害者ではなくカンボジア警察に逮捕された容疑者に近い人物」「タトゥーがはっきり見える人物が『救出された若者』と紹介され、現地の韓国人たちは衝撃を受けた」とも伝えた。

 A氏は「カンボジア警察は突入の準備を終えていたが、韓国側の『合図』がなく救助が遅れた」「政治的な効果を狙った宣伝ショーだと疑う声も上がっている」とした上で「実際の救助は現地在住の韓国人たちが目立たない形で行ってきた。金炳周議員はわずか2日の日程で訪問しただけだ」「政治家がメディアとSNSに『私が救出した』と宣伝するのは恥ずべきことだ」と指摘した。

 A氏はさらに「被害者と犯罪者の区別を求める韓国人社会の強い要請を無視し、見栄えの良い写真を公開するために英雄物語をでっち上げた」「政治家のショーマンシップが現地の韓国人社会を2回殺している」とも主張した。

 実際に本紙が単独で入手した当時の現場写真には、金炳周議員がカンボジアで救出したとする韓国人の若者はカンボジア警察の突入直後に膝を突いた状態で拘束され、両腕には大きなタトゥーが刻まれていた。

 関連する記事のコメント欄やネット掲示板などにはこの若者や送還者について「韓国に連れてきたら同じ犯罪が繰り返されるだろう」「より凶悪な犯罪者になる可能性もある」など批判的な書き込みが相次いだ。

コ・ユチャン記者

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