社説
インサイダー疑惑の次は金建希夫人疑惑の主犯と酒席…特別検察官の公正性・正当性はすでに満身創痍【10月28日付社説】
尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の配偶者・金建希(キム・ゴンヒ)夫人を巡る事件を担当している閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)チームで、韓文赫(ハン・ムンヒョク)部長検事が4年前、同夫人の関与したドイツ・モータース株価操作事件の主犯と酒席を共にしていたことが明らかになった。韓文赫検事は、酒席の写真が特検に情報提供されるまでこの事実を公表せず、特検で同事件の捜査チーム長を務めていたという。このため、特検捜査と起訴の公正性・正当性を疑わざるを得ない状況となった。
【写真】金建希夫人の株価操作疑惑主犯と酒席を共にしていた特別検察官・韓文赫
酒席を共にしたのは、金建希夫人の口座管理人として一時報じられたブラックパール・インベストメントのイ・ジョンホ元代表で、今年4月に有罪が確定した。ところが、韓文赫検事やイ・ジョンホ元代表ら5人は2021年、夕食を共にした後、同席者の家に行って酒宴を続けたという。韓文赫検事はこの時、ソウル中央地検の反腐敗・強力捜査第2部で、金建希夫人関連事件を捜査していた。韓文赫検事は「イ・ジョンホ元代表が捜査対象者だということを知らなかった」と言ったが、これは納得し難い言葉だ。たとえ後になってから知ったとしても、それ以降は金建希夫人関連捜査に加わるのを避けるべきだった。ところが、韓文赫検事は地検捜査に続き、高等検察庁の再捜査にも加わり、特検では捜査チーム長まで引き受けていた。
イ・ジョンホ元代表は、イム・ソングン元海兵第1師団長に対する「救命ロビー活動」疑惑で海兵特検の捜査も受けている。海兵特検は、問題の韓文赫検事の酒席写真が保存されているスマートフォンを確保したのにもかかわらず「見つけることができなかった」と言っている。閔中基特検はこのスマートフォンに対する家宅捜索令状を発給されても執行できなかったとのことだ。特検はこうした過程について説明しなければならない。
閔中基特検を巡る批判はこれだけではない。公務員に対する高圧的な捜査や自殺問題に続き、閔中基特検自身が以前、金建希夫人と同じ会社の株に投資したものの、株取引停止直前に売却して約1億ウォン(現在のレートで約1100万円)の差益を得ていた事実が明らかになっている。株取引停止の事実を知らない個人株主約7000人は4000億ウォン(約430億円)台の資産を失った。会社の代表は閔中基特検の高校・大学の同期生だった。さらに、検事の酒席問題まで起こった。特検は満身創痍(そうい)の状態と言えるだろう。閔中基特検は韓文赫検事の派遣を解除した。しかし、国民の目からすれば、韓文赫検事よりも閔中基特検のインサイダー取引疑惑の方がより大きく見える。