▲呉世勲ソウル市長 /写真=ニュース1

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の配偶者である金建希(キム・ゴンヒ)夫人の各種疑惑を捜査している特別検察官(特検)が1日、政治ブローカーのミョン・テギュン氏に世論調査を依頼してその費用を代納させた疑いで、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長と元ソウル市政務副市長などを起訴した。2021年のソウル市長補欠選挙時に呉市長がミョン氏に世論調査を頼み、その費用3300万ウォン(現在のレートで約350万円)は知人の実業家が代わりに支払ったというのだ。これに対し呉市長は「詐欺犯罪者のミョン・テギュンのうそばかりで、証拠も実体もない中、結論を決めておいて起訴した」とし「(進歩〈革新〉系与党の)民主党の下命に基づく政治起訴」と反発した。

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 特検は、中心人物であるミョン・テギュン氏は起訴しなかった。これについて特検は「この事件の本質は世論調査の費用代納なので、ミョン氏を被疑者に切り替えることはできない」とコメントした。来年のソウル市長選挙に出馬しようとしている民主党の関係者たちは一斉に、呉市長に向けて「すぐにソウル市長の職から退け」と攻勢に出た。

 誰であろうと違法行為に及んだのであれば捜査と裁判を通して真偽を明らかにしなければならない。世論調査の費用代納を行ったかどうかも裁判を通して是非が明確になるだろう。しかし、特検が来年の地方選挙が目前に迫った時期に呉市長を起訴したことについては、事後にいろいろうわさが立つことは避けられない。この事件は、尹錫悦政権の検察で始まった捜査だ。複雑な事案ではないから新政権に入ってすぐに結論を出せる事案であるにもかかわらず、特検の捜査につながり、地方選挙まであと6カ月の時点で起訴が行われた。地方選挙前に確定判決が出るのは難しい事案なので、この問題は選挙時に争点になるだろう。

 李在明(イ・ジェミョン)政権発足後、政府と与党の民主党は呉市長を狙って捜査や真相調査といった攻勢を続けてきた。民主党の内乱特委は、ソウル市が戒厳当日に庁舎を閉鎖したとして行政安全部(省に相当)に監察を要求した。戒厳当日の夜に「戒厳に反対する。戒厳は撤回されるべきだ」という立場を表明した呉市長が、戒厳に加担した疑惑があるというのだ。最近は首相が、呉市長の推進する世運商店街再開発、漢江バス、6・25戦争参戦国をたたえる「感謝の庭園」現場を訪れてこれを批判した。まるで、党と政府が呉市長のストーキングをしているかのようだった。検察と行政安全部に続いて、今度は特検までもが呉市長を狙ったのだ。

 今回の特別検察官らは、候補推薦のプロセスから保守系野党「国民の力」を完全に排除した。民主党が推薦し、大統領が任命したのだ。そんな民主党特検が民主党の選挙運動に加担した―という批判も、言い過ぎとは言えない。

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