尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の配偶者である金建希(キム・ゴンヒ)夫人の各種疑惑を捜査している閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)のチームが3日、金夫人の一審の裁判で懲役15年、罰金20億ウォン(現在のレートで約2億1200万円。以下同じ)を求刑した。宣告は来年1月28日に下される。

 特検チームはこの日、ソウル中央地裁刑事27部(裁判長:禹仁成〈ウ・インソン〉部長判事)で開かれた金夫人の結審公判で、ドイツ・モータース株価操作事件(資本市場法違反)と、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側から請託と共に金品を受け取った事件(あっせん収賄)について懲役11年、罰金20億ウォン、追徴金8億1144万ウォン(約8590万円)を求刑した。また、「政治ブローカー」ミョン・テギュン氏から無償で世論調査結果を受け取った事件(政治資金法違反)について懲役4年、追徴金1億3720万ウォン(約1450万円)の言い渡しを求めた。

 求刑に先立ち、特検チームは「被告人はこれまで、韓国の法の上に立っていた」と主張し「令夫人に公式な職責や役割はないが象徴性は高く、責任が要求される」「ところが被告人は、韓国最高の権力者の配偶者の地位を乱用して私的利益を追い求め、宗教団体と結託して憲法上の政教分離原則を崩し、選挙の公正性と代議制民主主義システムを崩壊させた」とした。

 金夫人は2010年から12年にかけてドイツ・モータースの株価操作に加担した疑いなどにより、今年8月に特検によって勾留起訴された。22年の大統領選挙前後に、ミョン・テギュン氏から2億7440万ウォン(約2900万円)相当の世論調査結果を無償で受け取り、尹錫悦・前大統領の当選直後には、旧統一教会の懸案を聞き入れる見返りとして「コンジン法師」ことチョン・ソンべ氏を通してシャネルのバッグなどおよそ8000万ウォン(約847万円)相当の金品を受け取った疑いもある。

 金夫人側はこの日、全ての容疑を否認した。金夫人は最終弁論で「私にも非常に悔しい点が多いが、自分の役割と立場において 誤っていた点は多いように思う」「特検が語っていることには争いの余地があるが、いずれにしても、私によって国民に大きな失礼を及ぼしたことは心からおわびし、反省する」と述べた。

 この日に弁論を終えた事件は、金夫人を巡るさまざまな疑惑の一部だ。金夫人は、23年3月に旧統一教会の信徒たちが当時の保守系与党「国民の力」に党員として集団入党したとされる疑惑に関連して、旧統一教会の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁などと共に政党法違反容疑で起訴され、裁判が迫っている。また、瑞熙建設の李鳳官(イ・ボングァン)会長などの実業家や李培鎔(イ・ベヨン)元国家教育委員長から請託名目で各種の金品を受け取った疑惑、キム・スンヒ元大統領室儀典秘書官の子女の「いじめ」もみ消し疑惑などでも特検の捜査を受けている。

キム・ウンギョン記者、イ・ミンジュン記者

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