▲写真=UTOIMAGE

 スイスの建築家が、アルプスの4大名峰の一つ、マッターホルン(4478メートル)に65階建ての高層ビルを建てると表明した。住宅難の解決に向けた計画だが、住民たちは冷ややかな反応を示している。

【写真】スイスのツェルマットで浮上している高層ビル建設計画

 ザ・タイムズなど複数の海外メディアが2日(現地時間)、報じた。それによると、スイス・ツェルマット出身の建築家で実業家のハインツ・ユルゲン氏(61)は最近、アルプスのマッターホルンに高さ260メートルのビルを建設すると宣言した。「リナ・パーク(Lena Peak)」と名付けられたこのプロジェクトには、5億ユーロ(約900億円)が投じられる予定だ。32階までは地域住民のための低価格住宅とし、上層部の30フロア分は裕福な外国人投資家向けの高級マンションにする。ビルの中には収容人数2500席のコンサートホールも作る予定だ。

 アルプスの渓谷に沿って広がるツェルマットの集落は、欧州で最も美しい景観を誇る場所だ。一方には絵画のようなマッターホルンの鋭い岩峰が、もう一方にはゴルナーグラートの稜線が見える。集落の常住人口は約5800人だが、冬になると4万人ほどに膨れ上がる。そのため平均住宅価格は1平方メートル当たり約2万スイス・フラン(約388万円)で、ユーラシア大陸の中ではかなり高い方だ。

 ユルゲン氏はこの住宅難を解決するために、今回のプロジェクトを計画した。同氏はスイスの公共放送SRFとのインタビューで「住宅難が深刻な問題だ」として「地域住民のための空間がなく、多くの人が引っ越しを余儀なくされている」と話した。先月に開催した公聴会では、集落の下の渓谷にある農地を確保したことを明かし、ビルの中に車両1000台を収容できる駐車スペースやスポーツセンター、保育園、商店、レストランなどをつくると説明した。

 ところが、これまで住民の反応は概ね冷ややかだ。すでに深刻な問題となっているオーバーツーリズムをさらに悪化させる上、ツェルマットの景観を損なう可能性があるとの懸念が支配的なのだ。あるネットユーザーは「マッターホルンに穴を掘ってその中にマンションを建設し、頂上まで行けるエレベーターを設置するのはどうか」「集落からマッターホルンが見えなくなるほど高いビルを建てればいいのでは。そうすれば観光客も来なくなるしマンションの価格も下がるだろう」と皮肉を込めたコメントを書き込んだ。

ムン・ジヨン記者

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