▲蔚山市内のゼネスト決議大会で発言する全国金属労働組合現代自動車支部のムン・ヨンムン支部長。写真=聯合ニュース

 韓国経営者総協会によると、昨年の韓国製造業常用労働者の賃金総額は、物価を考慮した購買力平価(PPP)基準で6万7491ドル(約1050万円)と、日本の5万2802ドルより28%、台湾より26%高かった。企業利益の一部が労働者に回るのは当然のことだが、最近の賃金上昇速度が競争国より大幅に速いという点は問題だ。2011年は日本の製造業賃金の方が韓国より高かった。しかし、その後13年間で日本の賃金は35%上がった反面、韓国の賃金は83%も急騰した。韓国の賃金引き上げ幅は日本の2倍をはるかに上回っているのだ。

【グラフ】「韓国で就業する日本人数の推移」と「韓日会社員の平均月給比較」

 さらに大きな問題なのは、このような賃金上昇にふさわしい生産性向上が伴っていないという点だ。韓国の年間賃金上昇率は2011-2017年の年平均3.3%から2018-2023年には4%に上昇した。その反面、同期間の労働生産性増加率は年平均2.5%から1.7%へと逆に下がっている。経済協力開発機構(OECD)基準でも韓国の1時間当たりの労働生産性は53.3ドル(2023年)で、日本の56.8ドルに及ばない。これは韓国経済全般に高コスト・低効率構造が定着していることを意味する。

 企業規模や業種別に日本との賃金差を分析してみると、問題の原因がはっきりしてくる。韓国の大企業の給与は日本より59%高かったが、中小企業は約22%の高さにとどまっている。韓日両国間の賃金差は主に大企業に集中しているという意味だ。これは、賃金上昇が生産性向上によるものではなく、強硬な労働組合や年功序列型の賃金体系によるものだという意味だ。大企業の正規職労組が政界をバックに高賃金の祝宴を開いている間に、その他の労働者たちは疎外されてきた。そのため、若者たちは全雇用の12%に過ぎない大企業への入社ばかりにこだわり、中小企業は慢性的な求人難に苦しめられている。

 大企業が稼いだ金で、当分は日本や台湾より高い人件費に持ちこたえられるかもしれないが、決して持続可能ではない。生産性より人件費の方が速いペースで上がれば、産業競争力は結局、弱まっていくしかない。大企業の既得権労組は賃金引き上げを自制し、年功ではなく成果中心に賃金体系を改編すべきだ。そうしなければ労働市場の「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」貧富の格差と製造業競争力の弱体化は避けられなくなるだろう。

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