▲写真提供=ソウル中央地裁

 趙垠奭(チョ・ウンソク)内乱特別検察官(特検)が13日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に死刑を求刑した。尹・前大統領が12・3非常戒厳に関連して昨年2月に内乱首謀者容疑で起訴されてから、352日を経ての求刑だ。

【表】内乱事件裁判 被告人8人に言い渡された求刑

 ソウル中央地裁刑事25部(裁判長:池貴然〈チ・グィヨン〉部長判事)の審理で開かれたこの日の結審公判で趙特検は、尹・前大統領の非常戒厳宣布を「憲政史において前例を見いだし難い『反国家勢力』による重大な憲法秩序破壊事件」と決め付けた。その上で特検は「尹・前大統領は反省の気配もなく、下級者に責任を転嫁するなど、減刑事由が全くないので『法定最低刑』である無期刑は量刑原則に合わない」とし「法定刑のうち、最低刑ではない刑は『死刑』しかない」と述べた。さらに「大韓民国が事実上死刑を執行しない国だとしても、死刑には、共同体が裁判を通して犯罪対応の意志とそれに対する信頼を具現する意味がある」と付け加えた。

 尹・前大統領は、2024年12月3日に法定要件を備えていない違憲・違法な非常戒厳を宣布し、韓国軍と警察を国会や中央選挙管理委員会に投入するなど国憲紊乱(びんらん)を目的として暴動を起こしたという疑いが持たれている。違法な布告令を根拠に政治家を令状なしで逮捕・拘禁するように指示するなど、軍・警に義務のないことをやらせた職権乱用の容疑もある。特検チームは、尹・前大統領について「軍と警察を動員して立法・司法権を掌握し、政治的反対勢力を一挙に除去し、権力を独占して長期にわたり権力を握ることを目的として23年10月以前から非常戒厳を手段とする内乱を準備した」とした。

 尹・前大統領側はこの日の最終弁論で「最小限の非武装兵力のみを動員した対国民メッセージ戒厳を内乱とは言えない」「一切の適法手続きを無視して現職大統領を逮捕しようとする試みは明白な内乱」だと主張した。この事件の判決言い渡しは2月19日に行われる予定だ。

■尹・前大統領、死刑求刑の瞬間には笑いながら首を横に振る…傍聴席からは大声や悪口

 「被告人・尹錫悦に死刑を求刑します」

 13日午後9時35分、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱首謀者容疑事件の結審公判が開かれたソウル中央地裁417号大法廷。趙垠奭内乱特検チームの朴億洙(パク・オクス)特検補が尹・前大統領に死刑を求刑すると、傍聴席からは「でたらめだ!」などの大声や悪口が飛び出した。硬い表情で朴特検補の求刑意見を聞いていた尹・前大統領は、あきれたように笑いながら首を横に振った。

 朴特検補は「尹・前大統領は野党の立法活動と公職者弾劾、予算削減などを内乱を画策する反国家行為だとして非常戒厳を宣布したが、親衛クーデターに加わったり黙認したりした人々こそ、尹錫悦などの憲政秩序破壊に同調した『反国家勢力』と評価されて当然」と糾弾した。

 朴特検補は、尹・前大統領の非常戒厳宣布を、1980年の5・17非常戒厳全国拡大措置になぞらえて「全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)勢力が権力簒奪(さんだつ)のために断行した措置以来、44年ぶりに起きたこと」だとした。その上で「全斗煥、盧泰愚・元大統領を断罪した歴史的経験があるにもかかわらず、尹・前大統領と公職エリートたちは非常戒厳を手段として内乱を画策した」「国民は、悲劇的歴史が繰り返されないように全斗煥、盧泰愚勢力よりも厳正な断罪が必要であることを実感するようになった」と主張した。

 特検チームは、尹・前大統領に戒厳を建議して準備・実行を主導した金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防相については無期懲役を求刑した。さらに、民間人身分で「不正選挙捜査団」を企画するなど戒厳の「裏の企画者」と呼ばれているノ・サンウォン元情報司令官については懲役30年、最近憲法裁判所で罷免された趙志浩(チョ・ジホ)前韓国警察庁長については懲役20年を宣告してほしいと裁判部に要請した。

 尹・前大統領の弁護人団は同日、およそ9時間の書類証拠調べを通して最後の弁論に臨んだ。フランスの哲学者モンテスキューの三権分立原則を挙げて「大統領の権限行使を裁判所が審査することはできない」と主張した。国民に国政の危機的状況を知らせるための「警告性戒厳」だという主張も繰り返した。また尹・前大統領側は、ナポレオン3世(フランス)やウゴ・チャベス(ベネズエラ)、ヒトラー(ナチス・ドイツ)など海外の独裁指導者を列挙して「これらの人物は選挙という民主的手続きで権力を握った後、民主主義を破壊した」「今の大韓民国の、ある政党が思い浮かぶ」と述べた。地動説を主張して宗教裁判にかけられたガリレオ・ガリレイに言及しつつ「多数派はいつも真実を理解していない」とも語った。

 13日に結審公判が開かれた417号大法廷は、特検の求刑と尹・前大統領側の最終弁論を聴こうとする人でいっぱいだった。尹・前大統領側の弁護人が「戒厳は、特定政党が絶対多数の議席を掌握して立法権・予算権・弾劾権を前面に押し出し、国を非常事態に追いやる状況において、大統領が憲政秩序を守るために宣布した『防御的民主主義』の発動」だと主張するや、傍聴席で支持者たちの拍手が起きる―という一幕もあった。裁判所前では、赤い帽子をかぶって太極旗を持った尹・前大統領の支持者たちが終日、集会を続けた。

 昨年4月に始まった尹・前大統領の内乱裁判は、この日、9カ月を経て締めくくりを迎え、残るは宣告のみとなった。韓国刑法は、内乱首謀者罪を死刑、無期懲役または無期禁固に処すると定めている。ただし被告人が罪を自白して反省したり、高齢であったり重病を患っていたりする場合には裁判部の裁量で減刑も可能で、10-50年の懲役・禁固刑が言い渡されることもあり得る。だが法曹界からは「尹・前大統領には減刑事由がないので、内乱罪が認められるとしたら無期刑が出る可能性が高い」という見方が出ている。

キム・ウンギョン記者、イ・ミンジュン記者、オ・ユジン記者

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