コラム
トランプ大統領を動かすイメージ戦略「感謝する韓国」【朝鮮日報コラム】
米国のトランプ大統領が韓国メディアに「サプライズ・プレゼント」を送ってくれたことがある。韓国は10年以上前から全世界200以上の国で前の列に並ぶほど国の規模は大きくなったが、韓国メディアのレベルはそれに見合っていないと何度も指摘されてきた。その理由は国際化の遅れだ。例えば「大手紙の1面で世界の動向が分かる外交・安全保障関連の記事がほとんどない」といった批判もそうだ。「戦争が起こり、北朝鮮の核問題が表面化したときだけ米国と日本の動向をうかがう程度」などの皮肉もあった。テレビもほぼ同じだ。トップニュースといえば韓国国内だけで大騒ぎする消耗的な国内政治関連ばかりだ。
【写真】トランプ大統領が李在明大統領のために椅子を引く様子
このような韓国メディアの状況を一気にひっくり返したのがトランプ大統領だ。米国の大統領とは考えられない言動、とりわけ2期目以降の想定外の政策やその影響は韓国としても無視できなくなった。朝鮮日報も1面に国際報道が掲載される事例が以前と比較できないほど増えた。トランプ大統領が韓国メディアの国際報道の割合を一気に引き上げてくれたのだ。
問題は今後だ。仕事柄トランプ大統領の動向には毎日注目しているが、世界を大きく揺り動かすトランプ大統領と韓国の大統領との関係がどうも気になる。1期目のトランプ大統領のカウンターパートは文在寅(ムン・ジェイン)大統領だったが、よく言われるように二人の関係は決して良くなかった。トランプ大統領は日本の安倍晋三元首相存命中は韓半島の重要問題については常に安倍元首相の意見を聞いた。トランプ大統領は安倍元首相に文前大統領の悪口を言うこともあったそうだ。
今の李在明(イ・ジェミョン)大統領も文前大統領と同じ左派だからだろうか、両首脳はまだ2回しか顔を合わせていない。これでは二人の信頼関係が十分に築かれたとは言えないだろう。昨年慶州で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の際にトランプ大統領は国賓として来韓したが、記者団の前で「首脳会談」という言葉を使わなかった。これはなんとも言えない微妙な雰囲気を醸し出した。
この状態で今韓国で大きな問題となっている「25%関税」に続き、今度は韓国軍と在韓米軍の意見対立が突然表面化した。通商問題に加えて安全保障問題でも亀裂が生じかねない事態だ。しかも首脳間の信頼関係も欠如しているため、今後この問題は単発の摩擦にとどまらず構造的な対立につながる恐れさえある。日本の高市早苗首相が衆議院選挙で圧勝し、米日同盟の結束を誇示する状況とはあまりに対照的だ。
こんな時ほどトランプ大統領の性格を冷静に分析した上での戦略的な対応が必要だろう。トランプ大統領は誰よりも「米国」というブランドを愛している。機会があるたびに「米国で生まれたことは神の祝福」と語る。トランプ大統領は今年米国独立250周年を盛大に祝い、各国に「誠意ある対応」を期待している。駐韓米国大使館も関連行事を準備中だ。
李在明大統領はトランプ大統領との関係強化に向けトランプ大統領が関心を持つイベントを活用しなければならない。6・25戦争当時、米国の支援で国が存立の危機を乗り越えた歴史に思いをはせ、米国独立250周年を心から祝えば、思いもよらない突破口が開かれるかもしれない。
しかも今年は米国平和部隊(Peace Corps)の韓国派遣60周年でもある。平和部隊は1966年から81年まで2000人以上のメンバーを韓国に派遣し近代化に貢献した。彼らは地方の小都市や田舎の学校で英語を教え、公衆衛生や地域開発でも貢献した。韓国政府は2008年に李泰植(イ・テシク)駐米大使の提案を受け当時の平和部隊メンバーを韓国に招待している。
今年はこれをさらにアップグレードしてはどうか。米建国250周年と平和部隊の韓国派遣60周年を関連付けるイベントを開催し、関係者を招待するのだ。「韓国は感謝する国」というイメージを米国国内に広めることができれば、両国関係にもプラスになるだろう。米国を感動させるこのような試みは通商と安全保障を巡る問題を克服する素晴らしい前例になるかもしれない。
李河遠(イ・ハウォン)外交安保エディター