▲京畿道平沢市の在韓米軍基地「キャンプ・ハンフリース」でクレーンなどを使い地上配備型ミサイル防衛システム「パトリオット」を運搬する在韓米軍。5日撮影。/聯合ニュース

 米国・イスラエルとイランとの戦争が長期化した場合、在韓米軍の兵器が持ち出される可能性が浮上しているが、通常爆弾を精密攻撃可能なスマート爆弾に改修する誘導爆弾キット「ペイブウェイ」1000個以上がすでに昨年12月に米本土に移動したことが5日までに分かった。今回の対イラン軍事作戦「壮絶な怒り」が始まったのは2月28日だが、米国のトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は昨年12月から作戦に向け協議を重ねてきたという。

【表】中東への移動が予想される在韓米軍の兵器

 米戦争省(旧国防総省)のヘグセス長官は4日の会見で「(イラン)上空を完全に制圧したので、今後米軍はGPS(衛星利用測位システム)搭載のレーザー誘導精密重力爆弾を使用する。この爆弾は備蓄がほぼ無制限だ」と述べた。在韓米軍から移動した誘導爆弾キットはこれらの爆弾製造に使用される。

 GPS、レーザー誘導装置、操舵(そうだ)翼からなる誘導爆弾キットは非誘導(自由落下型)爆弾に装着することで精密重力爆弾になる。キットは1個当たり3000万-8000万ウォン(約320万-850万円)と安価で、1発数十億ウォン(数億円)の高価なミサイルに比べればコスパに優れた攻撃が可能になる。

 在韓米軍による誘導爆弾キットの米本土移送が韓国側に通知されたか本紙が確認したところ、韓国国防部(省に相当)は「在韓米軍の戦力運用について韓国政府がコメントするのは適切ではない」として言及を避けた。

■長期戦はミサイル備蓄量が鍵…米国が韓国に支援を要請する可能性も

 トランプ大統領は昨年12月29日にフロリダ州の私邸マーラアラーゴでイスラエルのネタニヤフ首相と会談し「イラン攻撃承認」の要請を受けたという。これに対してトランプ大統領はネタニヤフ首相との会談前から「イランは(核兵器を)再び製造していると聞いたが、それが事実ならわれわれが掃討するしかないだろう」と述べ攻撃を示唆していた。また昨年12月1日にもトランプ大統領とネタニヤフ首相は電話会談を行ったが、これについて中東のあるメディアは「二人はイランへの対応について協議した」と伝えた。昨年6月の米軍による空爆後、イランは国際原子力機関(IAEA)による核施設の査察を拒否したため、これを口実に米国とイスラエルは攻撃の検討を開始したと考えられる。

 在韓米軍が保有する誘導爆弾キット「ペイブウェイ」1000個以上が会談直後の昨年12月16日、烏山の米軍基地から米本土の空軍基地に移動したという。これについて米軍は「訓練目的の再配分」と説明したが、実際はイラン攻撃の準備だったとの見方もある。複数の専門家は「戦争が長期化しキットの移動が本格化すれば、これは在韓米軍の戦略兵器移動のシグナルになるだろう」と予想している。

 青瓦台(韓国大統領府)のある関係者は5日「兵器の移動に向けた協議があったなどと報じられたが、協議などしていない」と明言した。韓米両国の間で在韓米軍の兵器移動に向けた協議は現時点で行われていないようだ。これと関連してある韓国軍筋は「米軍が必要と判断すれば在韓米軍の兵器使用に特に問題はない」とコメントした。

 イランは米軍基地や米大使館などがある中東諸国の都市に無差別攻撃を行っているため、迎撃ミサイルなどの需要が急速に高まっている。そのため韓国も今後支援を求められる可能性が非常に高い。ウクライナ戦争で迎撃ミサイルはすでに足りない状況にあり、米国も湾岸諸国も追加確保に向けて動いているため、現時点でかなりの量を保有する韓国に当然注目が集まる。

 イランはすでに2000発以上の中距離弾道ミサイルを保有しており、また「秘蔵のカード」として極超音速ミサイル「ファタ」の使用も検討しているという。イランは昨年6月にイスラエルを攻撃した際にファタ1を使用したが、その際に弾頭の一部がイスラエルの防空システムを突破しテルアビブの市街地などに落下した。

 イランとの戦闘が長期戦になった場合、米軍は在韓米軍の8基のパトリオット発射機など韓国国内の防空兵器を中東に移動させる可能性がまず指摘されている。慶尚北道星州のTHAAD(高高度防衛ミサイル)はレーダーと発射機を残し迎撃ミサイルだけを数十発移動させる可能性が考えられると専門家はみている。このようにパトリオットやTHAADが持ち出された場合、韓国の防空システムが弱体化し、韓国軍の防衛体制に問題が生じるとの懸念も指摘されている。

 米軍の最新兵器も一部移動する可能性がある。米国は昨年海外の米軍基地で初めて京畿道の烏山空軍基地に「間接火力防護能力(IFPC)」を配備したが、IFPCは米国式アイアンドームとも呼ばれ、ドローンや亜音速巡航ミサイル、ロケット砲や迫撃砲などさまざまな攻撃に対応できる。米国は昨年末にドイツに続き韓国の東豆川に重装軌式多連装ロケットシステムの最新型M270A2も配備したが、これも近く移動する可能性がある。

 在韓米軍の兵器や戦力の移動に加え、韓国軍が保有する兵器についても米国が支援を要請する可能性も考えられる。誘導キットはレイシオンやロッキード・マーチンが製造するペイブウェイの他にボーイング製の統合直接攻撃弾(JDAM)などがあるが、韓国空軍は2021年から7000個以上のJDAMキットを米国から購入し、数千個を保有しているという。韓国国防安保フォーラムの辛宗祐(シン・ジョンウ)事務総長は「米国は韓国空軍が保有するJDAMや誘導ミサイルのパトリオットなどの移動も求めてくるかもしれない」と予想した。

ヤン・ジホ記者

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