▲昨年4月18日、光州市光山区の韓国空軍第1戦闘飛行団から発進したF15K戦闘機。/写真=キム・ヨングン記者

 韓国空軍のパイロットが、主力戦闘機のF15Kで作戦中、「個人所蔵用の記念写真を残したい」として戦闘機でポーズを取ったところ別の戦闘機と空中衝突する事故を起こしていたことが、最近になって判明した。韓国空軍は事件を外部に明らかにせず、パイロットを懲戒するとともに修理費8億8000万ウォン(現在のレートで約9500万円。以下同じ)を支払うよう命じた。監査院は「当時のパイロットたちには、個人所蔵用の写真を撮る慣行があった」として弁償額を10分の1に減らした。

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 22日の本紙の取材を総合すると、2021年12月24日、当時韓国空軍の操縦将校だったA少領(少佐)は大邱の11戦闘飛行団でF15Kの飛行任務に従事した。複座のF15K戦闘機2機が編隊を組んで飛行する任務だった。飛行前のブリーフィングでA少領は「人事異動前の最後の飛行なので、任務を終えて帰投する際に飛行の様子を撮りたい」と述べた。

 A少領は、編隊長機に後続する「僚機」を飛ばして任務を終え、基地へ帰投する途中、個人のスマートフォンのカメラで記念写真を撮り始めた。これを見た編隊長がA少領に「写真を撮ってやる」と言い、後席の搭乗者に、A少領の機体を動画で撮影してやれ、と指示した。

 するとA少領は突然、編隊長に何も言わずに上昇し、機体を逆さにした。自分の乗る戦闘機の上側と自分の姿を、編隊長機から撮れるようにしよう、という意図からだった。

 だが、この過程で編隊長機とA少領の機体が近付き過ぎてしまい、A少領は垂直に近い急角度で機体を立てて編隊長機の左側へ動く回避機動を行った。編隊長も飛行高度を急いで下げた。

 それでも両機は衝突を避けることができず、A少領の機体の左翼と編隊長機の右翼が接触し、どちらも破損した。2機とも無事に着陸したが、A少領の機体の部品6点と編隊長機の部品45点を交換しなければならなかった。部品の価格だけでも8億7871万ウォン(約9480万円)に達した。

 A少領は韓国空軍から正式に懲戒を受け、その後、退職して民間航空機のパイロットになった。韓国空軍は、「会計関係職員」が故意や重大な過失で政府に財産上の損害を与えた場合には弁償責任を負う、と定める会計職員責任法の条項を適用し、A少領に8億7871万ウォンを弁償せよと命じた。

 A少領は監査院に「空軍の命令を再検討してほしい」と請求した。A少領は、自分の未熟な操縦で衝突事故が起きたことは間違いないとして過失を認めつつも、自分は「会計関係職員」ではないので弁償責任を負わない、と主張した。自分の戦闘機を逆さまにして編隊長機の上方へと機動することについて、編隊長は暗黙の内に同意していた、とも主張した。

 監査院は「会計職員責任法は『物品使用公務員』も会計関係職員に含めると定めており、操縦士は戦闘機を操縦している間は物品使用公務員に該当する」と指摘した。また、A少領が編隊長から機動の承認を受けず、他の操縦士たちも「A少領の機動はあまりに急激だった」と証言したとして、暗黙の同意を受けた機動であるというA少領の主張を受け入れなかった。

 それでも監査院は、A少領が支払うべき金額を10分の1の8787万ウォン(約950万円)に減らした。監査院は「事件関係者が、この件のほかにも飛行中に撮影をしたケースがあったと証言しており、事前のブリーフィングでA少領が『飛行中に撮影したい』と説明し、これに対して暗黙の同意があったものとみられる」という点を理由に挙げた。また、操縦士たちが飛行中に私的な目的で記念撮影をする慣行を規制しなかった空軍の責任もある、とみた。さらに監査院は「急迫した状況において本人が飛行を指揮しつつ、基地へ安全に帰投してさらなる被害がなかったこと。2010年の任官後、戦闘機の操縦士として長期間服務しながら戦闘機を安全に管理し、試験飛行などを通して戦闘機の効率的な維持補修などに寄与したこと。こうした点も総合的に考慮した」とも明かした。

 韓国空軍は、この事件を4年以上も外部に公開していなかった。この事件は、A少領が監査院に弁償命令に対する判定を請求したことに伴って、22日に監査院の報告書で公にされた。ただし監査院は、どの機種の事故だったか、事故が起きた部隊はどこだったかについては「国家安保に関する事項」だとして公開しなかった。

キム・ギョンピル記者

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