韓米関係
戦時作戦統制権の移管条件を厳格化、米議会が法案を修正
米連邦上院が6月16日(現地時間)に公表した「2027会計年度国防授権法(NDAA)」において、米軍の意見が反映されないまま軽率に戦時作戦統制権(以下統制権)の移管が行われることがないよう、昨年よりもさらに強力な牽制措置が盛り込まれたことが明らかになった。韓国政府は統制権移管を「政治的決定」とし、早ければ来年にも可能だと判断していると伝えられているが、ブレーキがかかる可能性が高まったとの分析が出ている。
米上院軍事委員会は、最近採択した2027年度NDAAにおいて、統制権の移管が米国の国益に合致し、韓国・日本はもちろん英国・カナダなど国連軍司令部に参加しているすべての同盟国と適切な協議を経たという点を、国防長官が統制権移管の60日前までに米議会に認証しなければならないと規定した。
昨年のNDAAでは、統制権の移管が「韓米が合意した計画から逸脱する方法」で行われる場合にのみ、このような認証手続きが必要であるとされていたが、この部分削除された。韓米が既存の合意通りに統制権の移管を行っても、米議会に対する認証・報告手続きを踏むよう求めているのである。
今年の法案には、来年3月1日から2030年まで90日ごとに米戦争省長官が統制権移管計画の履行に向けた韓米間のロードマップを米国議会に報告するよう求める条項も新設された。この報告書には米太平洋軍司令官と在韓米軍司令官が統制権移管に必要な軍事的な的条件を現在どのように評価しているかを必ず含めるよう定め、米軍の意見を尊重する点も明確にした。
■韓国の統制権移管がスピード競争に…米上院「米軍の意見が重要」
米上院が「2027会計年度国防授権法(NDAA)」において、統制権移管のための議会認証・報告手続きを強化したのは、軍事力が十分に整っていないにもかかわらず、両国の政治指導者間の合意だけで統制権移管が行われる状況を阻止するという趣旨と見ることができる。国防授権法は国防予算の執行に関する法案であり、この法律に規定された手続きを満たさなければ、統制権の移管に関しては一銭たりとも予算を執行することができない。
上院軍事委員会は、昨年のNDAAと同様に、今年の法案においても、国防長官が米議会に統制権の移管に関する状況を認証する際、在韓米軍司令官、太平洋軍司令官、統合参謀本部議長が実施した「独立した軍事的な的リスク評価」の結果を含めるよう要求した。これは議会が軍の意見を直接聞き、行政府の決定を統制するという意味だ。
昨年から「李在明(イ・ジェミョン)大統領任期内に戦時作戦統制権移管」を主張してきた韓国政府は、今年に入りさらにスピードアップを図っている様子を見せている。安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官は6月14日、「今年末に(韓米)両国の大統領に提言し、統制権の回復目標年度を決定することになるだろう」と述べた。李大統領は5月26日、明日統制権が移管されても「何の問題もない」とし、「憲法が定める自主独立国家としての地位を迅速に取り戻さなければならない」と語った。
一方、ピート・ヘグセス米国防長官は5月30日、統制権の移管に関連して「米軍の作戦計画と、米軍将兵が数十年にわたり担ってきた責任が尊重される点でバランスを見出すべきだと考える」と述べた。在韓米軍司令官ハビエル・ブランソン氏は、今年4月の米議会公聴会で「政治的都合が条件に先んじてはならない」とし、「2029会計年度の第2四半期(韓国基準で2029年第1四半期)までに、当該条件を達成するためのロードマップを戦争省(米国防総省)に提出した」と述べた。このロードマップ通りであれば、韓国政府が構想する「早ければ来年中の移管」は難しいことになる。
しかし、その直後、魏聖洛(ウィ・ソンラク)大統領府国家安保室長は「統制権の問題において軍的な側面を軽視することはできないが、これは基本的に政治的な決定の問題だ」とし、「結局、決定は両国政府の首脳陣が下すことになる」と述べた。これは、李在明大統領がドナルド・トランプ米大統領を説得し、統制権の移管を前倒しできるという趣旨の発言と解釈された。
米上院が2027年度国防権限法(NDAA)を通じて、米太平洋軍司令官と在韓米軍司令官に対し、来年3月から2030年まで90日ごとに統制権移管に関する評価報告書を議会に提出するよう求めたことは、こうした「政治的決定」に対する強力な統制装置となり得る。米上院はこの報告書に①韓国が連合防衛を主導するために必要な軍的能力をどの程度獲得し、実戦配備したか、②北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応するための同盟の包括的な対応能力は十分か、③韓半島とインド太平洋の安全保障環境が安定した統制権移管に適しているかについての評価などを盛り込むよう求めた。統制権の移管を行っても軍的な問題がないかを直接確認するというわけだ。
米上院は、在韓米軍を現在の水準である2万8500人以下に削減する場合も統制権の移管と同様に、事前に米国防長官が議会に対する認証・報告手続きを踏まなければならないとして、牽制措置を設けた。
NDAAを裏付ける指針書(Report Language)において、米上院は韓米両国が昨年の首脳会談で合意した韓国の原子力推進潜水艦導入問題にも言及した。原子力潜水艦の導入は支持するが、その運用費用が統制権移管の目標達成に及ぼす影響を分析し、来年2月1日までに議会に報告するよう求めている。米国の一部では韓国が国内総生産(GDP)の3.5%まで国防費を急激に増額したとしても、莫大な費用がかかる原子力潜水艦の建造と並行して統制権の移管を推進すれば、韓国軍の戦時作戦主導に必要な軍事資産を確保するには不十分だという懸念があり、これが反映された形だ。
この指針書には「中国共産党による韓国国内での悪質な影響力」工作に対し格別の懸念を表明するとともに、国防長官に対し来年5月1日までに議会へ関連報告を行うよう求める内容も盛り込まれている。中国の悪質な影響力が在韓米軍に人的情報や国家安全保障上のリスクをどの程度引き起こしているかなどを評価し、議会に説明するよう求めているのだ。
国防授権法は、上院と下院がそれぞれ法案を可決した後、互いに条文を調整する過程を経て統合法案が作成されるため、上院法案の文言が修正される可能性はある。ただし、今月5日に下院軍事委員会が可決した法案にも、統制権の移管が事前に合意された計画とは異なる形で推進される場合、国防長官はそれが米国の国益に合致し、同盟国との協議を終えたことを議会に確認しなければならないという条項が含まれている。
ワシントン=金隠仲(キム・ウンジュン)特派員、ヤン・ジホ記者