【萬物相】義人・浅川巧

2015/04/04 06:00

 ソウル市中浪区の忘憂里公園墓地の一角、同楽泉と呼ばれる湧き水の近くにある「203363号」の墓は、この墓地では珍しい日本人の墓だが、ここを参拝する韓国人の人波は絶えない。そしてこの墓にはいつも、誰かが手向けた花がある。1931年4月2日、この墓に眠る人物が40歳の若さで亡くなったときも、多くの人々がその死を悼んだ。弔問に来た朝鮮人たちは、大雨が降りしきる中でひつぎをかつぎ、清凉里(現・ソウル市東..

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